[告示] 第4 医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携並びに医療を受ける者に対する医療機能に関する情報の提供の推進に関する基本的な事項


[告示] 医療提供体制の確保に関する基本方針

第四 医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携並びに医療を受ける者に対する医療機能に関する情報の提供の推進に関する基本的な事項


一 医療連携体制の基本的考え方

医療連携体制の構築は、患者が可能な限り早期に居宅等での生活に復帰し、退院後においても継続的に適切な医療を受けることを可能にすることで、生活の質の向上を目指すものであることを踏まえ、さらに、次の点に留意することが求められる。
診療所における医療の提供に関しては、例えば、在宅医療を支える入院医療の提供も可能である有床診療所の特性など、各診療所の地域における役割を考慮することが重要である。その上で、身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談といったかかりつけ医の機能の向上を図りつつ、診療所相互間又は診療所と病院との業務の連携によって、診療時間外においても患者又はその家族からの連絡に対し、往診等必要な対応を行うことができる体制の構築が求められる。
病院における医療の提供に関しては、質の高い入院医療が二十四時間提供されるよう、医師、歯科医師、薬剤師、看護師を始めとした医療従事者の適切な人員配置を通じた勤務環境の改善が行われることが求められる。
これらの役割が、患者の視点に立って的確に果たされるよう、地域の診療に携わる医師・歯科医師等の団体の積極的な取組が期待される。


二 五疾病・五事業の医療連携体制の在り方

五疾病・五事業に係る医療連携体制については、それぞれ次に掲げる機能に即して、地域の医療提供施設の医療機能を医療計画に明示することにより、患者や住民に対し、分かりやすい情報提供の推進を図る必要がある。

1 五疾病・五事業に明示する機能
(一) がん
地域がん登録の活用等を通じたがんの現状把握、がんの予防及び早期発見をする機能、手術、放射線療法、化学療法及びこれらを組み合わせた集学的治療を提供する機能、がんと診断された時から緩和ケアを提供する機能並びに患者とその家族への相談支援や情報提供をする機能(医療機能に着目したがん診療連携拠点病院等の診療実施施設等)
(二) 脳卒中
救急医療の機能、身体機能を回復させるリハビリテーションを提供する機能及び日常生活に復帰させるリハビリテーションを提供する機能(発症から入院を経て居宅等に復帰するまでの医療の流れ、医療機能に着目した診療実施施設(急性期・回復期・居宅等の機能ごとの医療機関)等)
(三) 急性心筋梗塞
救急医療の機能及び身体機能を回復させるリハビリテーションを提供する機能(発症から入院を経て居宅等に復帰するまでの医療の流れ、医療機能に着目した診療実施施設(急性期・回復期・居宅等の機能ごとの医療機関)等)
(四) 糖尿病
重篤な疾病を予防するための生活指導を行う機能及び糖尿病による合併症を含めた疾病の治療を行う機能(発症から居宅等で継続して治療するまでの医療の流れ、医療機能に着目した診療実施施設等)
(五) 精神疾患
発症後速やかに精神科医に受診できる機能、患者に応じた質の高い精神科医療を提供する機能、再発防止や地域生活維持・社会復帰のための外来医療、訪問サービス等を提供する機能並びに福祉・介護サービスと連携しつつ退院に向けた支援を提供する機能(発症から診断、治療、地域生活・社会復帰までの流れ、医療機能に着目した診療実施施設等)
(六) 救急医療
休日夜間急患センターや二十四時間対応する診療所等で初期の救急医療を提供する機能、緊急手術や入院を必要とする救急患者に医療を提供する機能及び生命にかかわる重篤な救急患者に救命医療を提供する機能(都道府県内のブロックごとの救急医療機関の役割(産科合併症以外の合併症を有する母体に対して救急医療を提供する医療機関の役割を含む。)、在宅当番医制又は休日夜間急患センター・入院を要する救急医療機関・救命救急センターに実際に搬送される患者の状態、自動体外式除細動器(AED)等病院前救護体制や消防機関との連携(病院間搬送を含む。)等)
(七) 災害時における医療
災害時に被災地へ出動して、迅速に救命医療を提供する機能、その後避難所等において診療活動を行う機能及び被災しても医療提供を引き続き維持し被災地での医療提供の拠点となる機能(都道府県内外での災害発生時の医療の対応(災害派遣医療チーム(DMAT)の整備状況と活用計画を含む。)、広域搬送の方法、後方医療施設の確保、派遣調整本部や地域医療対策会議によるコーディネート機能を担う体制整備、消防・警察等関係機関との連携、広域災害・救急医療情報システムの状況、災害拠点病院の耐震化・医薬品等の備蓄状況、災害に対応した訓練計画等)
(八) へき地の医療
へき地保健医療計画と整合性が図られており、かつ、継続的にへき地の医療を支援できる機能(第十一次へき地保健医療対策を踏まえた対応、搬送、巡回診療、医師・歯科医師確保等へき地の支援方法等による連携体制等)
(九) 周産期医療
正常な分娩を扱う機能(日常の生活・保健指導及び新生児の医療相談の機能を含む。)及び高度な診療を要するリスクの高い分娩を扱う機能(妊産婦の状態に応じ、居宅等に戻るまでの医療の流れ、病態・医療機能に着目した診療実施施設、総合周産期母子医療センターと地域の周産期医療の医療連携体制(搬送体制を含む。)、自治体立病院等の産科に関する医療資源の集約化・重点化等)
(十) 小児医療
小児の健康状態の相談を行う機能、在宅当番医制、休日夜間急患センターや二十四時間対応する診療所等初期の小児救急医療を提供する機能、緊急手術や入院を必要とする小児救急患者に医療を提供する機能及び生命にかかわる重篤な小児救急患者に救命医療を提供する機能(発症から外来での通院や入院を経て居宅等に戻るまでの医療の流れ、病態・医療機能に着目した診療実施施設、小児救急医療の提供体制(在宅当番医制又は休日夜間急患センター・入院を要する救急医療機関・救命救急センター・病院間搬送・電話相談事業等)の状況、自治体立病院等の小児科に関する医療資源の集約化・重点化等)

2 事業ごとに配慮すべき事項
(一) 救急医療において、生命にかかわる重篤な救急患者に救命医療を提供する機能を有する医療機関である高度救命救急センターを医療計画に明示する場合には、広範囲熱傷、急性中毒等の特殊疾病のうち、特に当該センターが対応体制を整備しているものについて記載する必要がある。なお、この場合においては、当該都道府県内のセンターに限らず、広域的に対応する隣接都道府県のセンターを記載することも可能である。
また、平成二十一年十月から施行されている消防法の一部を改正する法律(平成二十一年法律第三十四号)により、都道府県において策定した地域の搬送・受入に関する実施基準に基づき、円滑な患者の搬送が実施されることが必要である。
精神科救急医療については、輪番制による緊急時における適切な医療及び保護の機会を確保するための機能、重度の症状を呈する精神科急性期患者に対応する中核的なセンター機能を強化することが求められる。
産科合併症以外の合併症を有する母体に対する救急医療については、総合周産期母子医療センター等による周産期医療と救命救急センター等による救急医療との連携体制を確保することが重要である。
(二) 救急医療や災害時における医療については、患者の緊急度、重症度等に応じた適切な対応が求められる。このため、救急用自動車はもとより、ドクターカー(必要な機器等を装備し、医師等が同乗することにより救命医療が可能な救急搬送車両をいう。)、消防防災ヘリコプターを含む救急患者搬送用のヘリコプター等の搬送手段を活用することにより救急医療の確保を図ることが重要である。その際、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成十九年法律第百三号)を踏まえ、地域の実情に応じ、同法第二条に規定する救急医療用ヘリコプターを用いることが考えられる。この場合、同法第五条第一項及び第二項の規定に基づき、医療計画に同条第一項に規定する事項を定めることが求められるとともに、同条第二項各号に掲げる事項を定めるよう努めることとされている。こうした一連の救急搬送と救急医療の連携の確保に当たっては、いわゆるメディカルコントロール体制の一層の充実・強化を図ることも重要である。
(三) 離島やへき地における医療については、医師・歯科医師等の個人の努力に依存するのではなく、へき地保健医療対策に基づく各般の施策による充実が必要であり、特に、公的医療機関や社会医療法人等の役割の明確化を通じ、医師・歯科医師等の継続的な派遣による支援体制の確立等に努める必要がある。また、効率的な救急搬送体制が確保されるよう努めることが必要である。
(四) 周産期医療については、周産期医療体制整備計画の内容と整合性を図るとともに、地域の助産師の活用を図り、診療所や助産所等とリスクの高い分娩を扱う病院との機能の分担及び業務の連携の充実に努めることが必要である。さらに、周産期医療体制の整備を進める中で、隣接都道府県との連携体制を必要に応じて確保することや、産科合併症以外の合併症を有する母体に適切に対応するための救急医療との連携体制を確保することも重要である。また、NICU(新生児集中治療室)退院後の未熟児等に対する後方支援施設等における継続的な医療提供体制の構築が必要である。
(五) 小児医療については、小児科医師や看護師等による小児救急電話相談事業等による健康相談を支援する機能を充実させるとともに、診療所が当番制等により初期の小児救急医療を二十四時間体制で担うことを通じて、拠点となる病院が重症の小児救急患者に重点的に対応することを可能とする体制を構築することが必要である。

三 在宅医療に係る医療連携体制の在り方

在宅医療に係る医療連携体制について医療計画に定める場合には、次に掲げる機能に即して、地域の医療提供施設の医療機能を明示することにより、患者や住民に対し、分かりやすい情報提供の推進を図る必要がある。
1 明示する機能
在宅医療への円滑な移行に向けての退院支援機能、生活の場における療養支援機能並びに急変時の対応機能及び患者が望む場所での看取り機能(入院機関と在宅医療の受け皿になる関係機関との協働による退院支援の実施、関係職種の協働による患者・家族の生活の視点に立った医療の提供、緩和ケアの提供、介護する家族の支援、在宅療養中の患者が急変した場合に受け入れることのできる病床の確保、住み慣れた地域での看取りの実施等)
2 配慮すべき事項
看取りの体制を含めた在宅医療については、在宅療養を希望する患者や家族、地域住民に対して、病院・診療所、訪問看護ステーション、薬局等の機能分担と連携の状況を情報提供することが重要である。また、在宅の患者ニーズに対応した医療と介護を包括的に提供する体制を整備するため、都道府県介護保険事業支援計画の内容と整合性を図り、患者の療養生活の充実等に努めることが必要である。

四 救急医療等確保事業に関する公的医療機関及び社会医療法人の役割

公立病院等公的医療機関については、その役割として求められる救急医療等確保事業(法第三十条の四第二項第五号イからヘまでに掲げる救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療(小児救急医療を含む。)及び都道府県知事が当該都道府県における疾病の発生の状況等に照らして特に必要と認める医療)に係る業務の実施状況を病院ごとに明らかにするとともに、救急医療等確保事業に係る業務を担う社会医療法人の積極的活用を図り、その活用状況も併せて明らかにすることが重要である。


五 薬局の役割

薬局については、医療提供施設として、五疾病・五事業及び在宅医療のそれぞれの医療連携体制の中で、調剤を中心とした医薬品、医療・衛生材料等の提供の拠点としての役割を担うことが求められる。また、都道府県において、薬局の医療機能を医療計画に明示することにより、患者や住民に対し、分かりやすい情報提供の推進を図ることが重要である。

六 医療機能に関する情報の提供の推進

都道府県は、法第六条の三第一項及び薬事法第八条の二第一項を通じて把握した医療提供施設の情報について、患者や住民に分かりやすく明示することが必要である。
さらに、都道府県は、それぞれの地域の実情に応じて、任意の情報の把握の方法やより効果的な情報提供のあり方等を検討することが必要である。

七 医療の安全の確保

都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、医療提供施設が講じている医療の安全を確保するための取組の状況を把握し、医療の安全に関する情報の提供、研修の実施、意識の啓発等に関し、必要な措置を講ずるよう努めることが重要である。また、医療安全支援センターを設置し、住民の身近な地域において、患者又はその家族からの医療に関する苦情又は相談に対応し、必要に応じて当該医療提供施設に対して、必要な助言を行う等の体制を構築するよう努めることが重要である。





[告示] 医療提供体制の確保に関する基本方針