1-4 糖尿病の医療体制構築に係る指針


[通知] 疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について

糖尿病の医療体制構築に係る指針

糖尿病は、様々な遺伝素因に種々の環境因子が作用して発症する。糖尿病が疑われる場合には食事療法・運動療法、生活習慣改善に向けての患者教育等が行われ、さらに糖尿病と診断された場合には薬物療法まで含めた治療が行われる。
また、糖尿病は脳卒中、急性心筋梗塞等他疾患の危険因子となる慢性疾患であり、患者は多種多様な合併症により日常生活に支障を来たすことが多い。
予防・治療には、患者自身による生活習慣の自己管理に加えて、内科、眼科、小児科、産科、歯科等の各診療科が、糖尿病の知識を有する管理栄養士、薬剤師、保健師、看護師等の専門職種と連携して実施する医療サ-ビスが必要となる。
一人の糖尿病患者には生涯を通じての治療継続が必要となるため、これらの医療サ-ビスが連携し、継続して実施されることが重要である。
本指針では、「第1 糖尿病の現状」で糖尿病の発症・転帰がどのようなものであるのか、どのような医療が行われているのかを概観し、次に「第2 医療機関とその連携」でどのような医療体制を構築すべきかを示している。
都道府県は、これらを踏まえつつ、「第3 構築の具体的な手順」に則して、地域の現状を把握・分析し、また各医療機能を理解した上で、地域の実情に応じて圏域を設定し、その圏域ごとの医療機関とさらにそれらの医療機関相互の連携の検討を行い、最終的には都道府県全体で評価まで行えるようにする。


第1 糖尿病の現状
糖尿病は、インスリン作用の不足による慢性の高血糖状態を主な特徴とする代謝疾患群である。
糖尿病は、インスリンを合成・分泌する細胞の破壊・消失によるインスリン作用不足を主要因とする1型糖尿病と、インスリン分泌低下・抵抗性等をきたす遺伝因子に、過食、運動不足、肥満などの環境因子及び加齢が加わり発症する2型糖尿病に大別される。
インスリン作用不足により高血糖がおこると、口渇、多飲、多尿、体重減少等の症状がみられ、その持続により合併症を発症する。糖尿病合併症には、著しい高血糖によって起こる急性合併症と、長年にわたる慢性の高血糖の結果起こる慢性合併症がある。
① 急性合併症には、ケトアシド-シスや高血糖高浸透圧昏睡といった糖尿病昏睡等がある。
② 慢性合併症は、全身のあらゆる臓器に起こるが、特に細小血管症に分類される糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害や、大血管症に分類される脳卒中、心筋梗塞・狭心症、糖尿病性壊疽がある。
糖尿病には根治的な治療方法がないものの、血糖コントロ-ルを適切に行うことにより、合併症の発症を予防することが可能である。合併症の発症は、患者の生活の質(QOL)を低下させ、生命予後を左右することから、その予防が重要である。
糖尿病の医療は、1型糖尿病と2型糖尿病によって異なるが、適切な血糖コントロ-ルを基本とした医療は共通であることから、本指針においては一括して記載することとする。

1 糖尿病の疫学
糖尿病が強く疑われる者は890万人であり、過去5年間で150万人増加している。
また、糖尿病の可能性が否定できない者は1,320万人であり、過去5年間で440万人増加している1。糖尿病を主な傷病として継続的に医療を受けている患者数は約237万人である2。
さらに、11.8%が糖尿病神経障害を、11.1%が糖尿病腎症を、10.6%が糖尿病網膜症を、0.7%が糖尿病足病変を合併している1。人工透析導入患者のうち、糖尿病腎症が原疾患である者は約1万6千人(43.5%)である3。
なお、年間約1万4千人が糖尿病が原因で死亡し、死亡数全体の1.2%を占めている4。

2 糖尿病の医療
糖尿病の診断、治療等に関する現状を参考として以下に示すが、詳細は日本糖尿病学会編によるガイドライン(「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2010」「糖尿病治療ガイド2010」)及び「糖尿病治療ガイド2010」の要約版である日本糖尿病対策推進会議編『糖尿病治療のエッセンス』等の診療ガイドラインを参照されたい。
なお、以下、糖尿病における「診療ガイドライン」は上記を指すこととする。
(1) 予防
2型糖尿病の発症に関連がある生活習慣は、食習慣、運動習慣、喫煙、飲酒習慣等であり、発症予防には、適切な食習慣、適度な運動習慣が重要である。また、不規則な生活習慣等が原因で、糖尿病の発症リスクが高まっている者については、生活習慣の改善により発症を予防する。
近年、糖尿病の発症には、内臓脂肪の蓄積が大きく関与していることが明らかになっており、医療保険者等による、メタボリックシンドロ-ムに着目した健診・保健指導が重要である。
(2) 診断
健診によって、糖尿病あるいはその疑いのある者を見逃すことなく診断し、早期に治療を開始することは、糖尿病の重症化、合併症の発症を予防する上で重要である。
(参考:日本糖尿病対策推進会議編『糖尿病治療のエッセンス2010-2011』より改変)
○ 早朝空腹時血糖値126mg/dL以上、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値200mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、HbA1c(NGSP※。以下同じ。)6.5%以上のいずれかであれば糖尿病型と判定する。
○ 血糖値が糖尿病型でかつHbA1cが6.5%以上で糖尿病型であれば、糖尿病と診断できる。
○ 血糖値が糖尿病型でかつ糖尿病の典型的症状があるか確実な糖尿病網膜症が確認された場合も、糖尿病と診断できる。
○ 血糖値は糖尿病型であるが、HbA1c6.5%未満で上記の症状や確実な網膜症がない場合は、もう一度別の日に検査を行い、血糖値またはHbA1c値で糖尿病型が再度確認できれば糖尿病と診断できる。
○ HbA1c値だけが糖尿病型である場合は、別の日に血糖値の再検査を行い、血糖値が糖尿病型であることを確認したうえで糖尿病と診断する。
○ HbA1c6.5%以上が2回みられても糖尿病とは診断できない。
○ 糖尿病型の場合は、再検査で糖尿病と診断が確定しない場合でも、生活指導を行いながら経過を観察する。
○ 境界型(空腹時血糖値110~125mg/dLまたはOGTT2時間値140~199mg/dL)は糖尿病予備群であり、運動・食生活指導など定期的な管理が望ましい。
※日常の臨床においてHbA1c検査を実施した場合の結果については、平成24年度以降は原則として、国際的に広く用いられているNGSP値(従来のJDS値との関係は、NGSP=1.02×JDS+0.25)を用い、従来から使用していたJDS値も当面併記する5。
(3) 治療・保健指導
糖尿病の治療は、1型糖尿病と2型糖尿病で異なる。
1型糖尿病の場合は、直ちにインスリン治療を行うことが多いが、2型糖尿病の場合は、2~3ヶ月の食事療法、運動療法を行った上で、目標の血糖コントロ-ルが達成できない場合に、経口血糖降下薬又はインスリン製剤を用いた薬物療法を開始する。
薬物療法開始後、体重の減少や生活習慣の改善により、経口血糖降下薬やインスリン製剤の服薬を減量又は中止できることがあるため、管理栄養士、薬剤師、保健師、看護師等の専門職種と連携して、食生活、運動習慣等に関する指導を十分に実施する。
慢性合併症は、血糖コントロ-ル、高血圧の治療など内科的治療を行うことによって病期の進展を阻止または遅らせることが可能である。血糖コントロ-ルの指標として、患者の過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映する指標であるHbA1cが用いられる。HbA1c8.4%以上が持続する場合はコントロ-ル不可の状態であり、教育入院等を検討する必要がある。

(表:血糖コントロ-ル指標と評価)

指標

不可

不十分

不良

HbA1c値(%)

6.2未満

6.26.9未満

6.97.4未満

7.48.4未満

8.4以上

空腹時血糖値(mg/dl

80110未満

110130未満

130160未満

160以上

食後2時間血糖値(mg/dl

80140未満

140180未満

180220未満

220以上

(出典)日本糖尿病学会編「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2010」より改変


また、糖尿病患者には、シックデイ(発熱、下痢、嘔吐をきたし、また
は食欲不振のために食事ができないとき)の対応や、低血糖時の対応につ
いて事前に十分な指導を行う。
(4) 合併症の治療
① 急性合併症
ケトアシド-シスや高血糖高浸透圧昏睡といった糖尿病昏睡等の急性合併症を発症した場合には、輸液、インスリン投与等の治療を実施する。
② 慢性合併症
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害等の合併症の早期発見や治療を行うために、眼科等の専門医を有する医療機関や人工透析の実施可能な医療機関と連携して必要な治療を実施する。
ア 糖尿病網膜症の治療は、増殖前網膜症又は早期の増殖網膜症に進行した時点で、失明予防の観点から光凝固療法を実施する。硝子体出血及び網膜剥離は手術療法を実施する。
イ 糖尿病腎症の治療は、血糖及び血圧のコントロ-ルが主体であり、そのために食事療法や薬物療法を実施し、腎不全に至った場合は透析療法を実施する。
ウ 糖尿病神経障害の治療は、血糖コントロ-ルや生活習慣の改善が主体であり、薬物療法を実施することもある。
(脳卒中及び急性心筋梗塞については、それぞれの医療体制構築に係る指針を参照)


第2 医療機関とその連携

1 目指すべき方向
前記「第1 糖尿病の現状」を踏まえ、個々の医療機能、それを満たす医療機関、さらにそれら医療機関相互の連携により、保健及び医療サ-ビスが連携して実施される体制を構築する。
(1) 糖尿病の治療及び合併症予防が可能な体制
① 糖尿病の診断及び生活習慣等の指導の実施
② 良好な血糖コントロ-ルを目指した治療の実施
(2) 血糖コントロ-ル不可例の治療や急性合併症の治療が可能な体制
① 教育入院等による、様々な職種の連携によるチ-ム医療の実施
② 急性増悪時の治療の実施
(3) 糖尿病の慢性合併症の治療が可能な体制

2 各医療機能と連携
前記「1 目指すべき方向」を踏まえ、糖尿病の医療体制に求められる医療機能を下記(1)から(4)に示す。
都道府県は、各医療機能の内容(目標、医療機関等に求められる事項等)について、地域の実情に応じて柔軟に設定する。
(1) 合併症の発症を予防するための初期・安定期治療を行う機能【初期・安定期治療】
① 目標
・ 糖尿病の診断及び生活習慣の指導を実施すること
・ 良好な血糖コントロ-ルを目指した治療を実施すること
② 医療機関に求められる事項
次に掲げる事項を含め、該当する医療機関は診療ガイドラインに則した診療を実施していることが求められる。
・ 糖尿病の診断及び専門的指導が可能であること
・ 75gOGTT、HbA1c等糖尿病の評価に必要な検査が実施可能であること
・ 食事療法、運動療法及び薬物療法による血糖コントロ-ルが可能であること
・ 低血糖時及びシックデイの対応が可能であること
・ 専門治療を行う医療機関及び急性・慢性合併症治療を行う医療機関と診療情報や治療計画を共有するなどして連携していること
③ 医療機関の例
・ 病院又は診療所
(2) 血糖コントロ-ル不可例の治療を行う機能【専門治療】
① 目標
・ 血糖コントロ-ル指標を改善するために、教育入院等の集中的な治療を実施すること
② 医療機関に求められる事項
次に掲げる事項を含め、該当する医療機関は診療ガイドラインに則した診療を実施していることが求められる。
・ 75gOGTT、HbA1c等糖尿病の評価に必要な検査が実施可能であること
・ 各専門職種のチ-ムによる、食事療法、運動療法、薬物療法等を組み合わせた教育入院等の集中的な治療(心理問題を含む。)が実施可能であること
・ 糖尿病患者の妊娠に対応可能であること
・ 食事療法、運動療法を実施するための設備があること
・ 糖尿病の予防治療を行う医療機関及び急性・慢性合併症の治療を行う医療機関と診療情報や治療計画を共有するなどして連携していること
③ 医療機関の例
・ 病院又は診療所
(3) 急性合併症の治療を行う機能【急性増悪時治療】
① 目標
・ 糖尿病昏睡等急性合併症の治療を実施すること
② 医療機関に求められる事項
次に掲げる事項を含め、該当する医療機関は関係する診療ガイドラインに則した診療を実施していることが求められる。
・ 糖尿病昏睡等急性合併症の治療が24時間実施可能であること
・ 食事療法、運動療法を実施するための設備があること
・ 糖尿病の予防治療を行う医療機関、教育治療を行う医療機関及び慢性合併症の治療を行う医療機関と診療情報や治療計画を共有するなどして連携していること
③ 医療機関の例
・ 病院又は診療所
(4) 糖尿病の慢性合併症の治療を行う機能【慢性合併症治療】
① 目標
・ 糖尿病の慢性合併症の専門的な治療を実施すること
② 医療機関に求められる事項
次に掲げる事項を含め、該当する医療機関は関係する診療ガイドラインに則した診療を実施していることが求められる。
・ 糖尿病の慢性合併症(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害等)について、それぞれ専門的な検査・治療が実施可能であること(単一医療機関ですべての合併症治療が可能である必要はない)
・ 糖尿病網膜症治療の場合、蛍光眼底造影検査、光凝固療法、硝子体出血・網膜剥離の手術等が実施可能であること
・ 糖尿病腎症の場合、尿一般検査、尿中アルブミン排泄量検査、腎生検、腎臓超音波検査、血液透析等が実施可能であること
・ 糖尿病の予防・治療を行う医療機関、教育治療を行う医療機関及び急性合併症の治療を行う医療機関と診療情報や治療計画を共有する等して連携していること
③ 医療機関の例
・ 病院又は診療所


第3 構築の具体的な手順

1 現状の把握
都道府県は、糖尿病の医療体制を構築するに当たって、(1)(2)に示す項目を参考に、患者動向、医療資源及び医療連携等について、現状を把握する。
さらに、(3)に示す、病期・医療機能ごとおよびストラクチャ-・プロセス・アウトカムごとに分類された指標例により、数値で客観的に現状を把握する。
なお、(1)~(3)の各項目について、参考として調査名を示しているが、その他必要に応じて調査を追加されたい。
(1) 患者動向に関する情報
・ 年齢調整受療率(患者調査)
・ 健康診断・健康診査の受診率(国民生活基礎調査)
・ 高血圧性疾患患者の年齢調整外来受療率(患者調査)
・ 総患者数及びその内訳(性・年齢階級別、傷病小分類別)、患者流入割合、流出割合(患者調査)
・ 退院患者平均在院日数(患者調査)
・ 健診を契機に受診した患者数
・ 有病者数・有病率、予備群数
・ 治療中断率(医師の判断によらないものに限る)
・ 糖尿病に合併する脳卒中、心筋梗塞の発症率
・ 糖尿病による失明発症率
・ 糖尿病腎症による新規透析導入患者数
・ 年齢調整死亡率(都道府県別年齢調整死亡率(業務・加工統計))
(2) 医療資源・連携等に関する情報
① 初期・安定期の治療を行う診療所
・ 検査、治療体制(人員・施設設備)
・ 糖尿病教室等患者教育の状況
・ 医療連携の状況(他の医療機関との診療情報や治療計画の共有の状況)
② 血糖コントロ-ル不可例(HbA1c8.4%以上)等の治療を行う病院・診療所
・ 検査、治療体制(人員・施設設備)
・ 糖尿病教室等患者教育の状況
・ 医療連携の状況(他の医療機関との診療情報や治療計画の共有の状況)
③ 合併症治療を行う病院・診療所
・ 検査、治療体制(人員・施設設備)
・ 実施可能な慢性合併症の治療法
・ 医療連携の状況(他の医療機関との診療情報や治療計画の共有の状況)
(3) 指標による現状把握
別表4に掲げるような、病期・医療機能ごと及びストラクチャ-・プロセス・アウトカムごとに分類された指標例により、地域の医療提供体制の現状を客観的に把握し、医療計画に記載する。その際、公的統計等により全都道府県で入手可能な指標(必須指標)と、独自調査やデ-タ解析等により入手可能な指標(推奨指標)に留意して、把握すること。

2 圏域の設定
(1) 都道府県は、糖尿病の医療体制を構築するに当たって、「第2 医療機関とその連携」を基に、前記「1 現状の把握」で収集した情報を分析し、各病期に求められる医療機能を明確にして、圏域を設定する。
(2) 医療機能を明確化するに当たって、地域によっては、医療資源の制約等によりひとつの施設が複数の機能を担うこともあり得る。逆に、圏域内に機能を担う施設が存在しない場合には、圏域の再設定を行うこともあり得る。
(3) 圏域を設定するに当たって、従来の二次医療圏にこだわらず、地域の医療資源等の実情に応じて弾力的に設定する。
(4) 検討を行う場合は、地域医師会等の医療関係団体、現に糖尿病の診療に従事する者、住民・患者、市町村等の各代表が参画する。
また糖尿病対策推進会議(日本医師会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会が、糖尿病の発症予防等を目指して共同で設立した会議)を活用すること。

3 連携の検討
(1) 都道府県は、糖尿病の医療体制を構築するに当たって、血糖コントロ-ルを中心として、多種多様な合併症についても連携して治療を実施できるよう、また、関係機関・施設の信頼関係を醸成するよう配慮する。
また、医療機関、地域医師会等の関係者は、診療技術や知識の共有、診療情報の共有、連携する施設・医師等専門職種の情報の共有に努める。
また都道府県は、関係団体等との連携、特に日本糖尿病対策推進会議の活用により、標準的な治療の普及、協力体制の構築を図る。
(2) 保健所は、「地域保健法第4条第1項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年厚生省告示第374号)の規定に基づき、また、「医療計画の作成及び推進における保健所の役割について」(平成19年7月20日健総発第0720001号健康局総務課長通知)を参考に、医療連携の円滑な実施に向けて、地域医師会等と連携して医療機関相互の調整を行うなど、積極的な役割を果たすこと。
(3) 医療計画には、原則として、各医療機能を担う医療機関の名称を記載する。
なお、地域によっては、医療資源の制約等によりひとつの医療機関が複数の機能を担うこともある。
さらに、医療機関等の名称については、例えば医療連携体制の中で各医療機能を担う医療機関等が圏域内に著しく多数存在する場合にあっては、地域の実情に応じて記載することで差し支えないが、住民に分かりやすい周知に努めるものとする。

4 課題の抽出
都道府県は、「第2 医療機関とその連携」を踏まえ、「1 現状の把握」で収集した情報や指標により把握した数値から明確となった現状について分析を行い、地域の糖尿病の医療体制の課題を抽出し、医療計画に記載する。
その際、現状把握に用いたストラクチャ-・プロセス・アウトカム指標の関連性も考慮し、病期・医療機能による分類も踏まえ、可能な限り医療圏ごとに課題を抽出する。

5 数値目標
都道府県は、糖尿病の良質かつ適切な医療を提供する体制について、事後に定量的な比較評価を行えるよう、「4 課題の抽出」で明確にした課題に対して、地域の実情に応じた目標項目やその数値目標、目標達成に要する期間を設定し、医療計画に記載する。
数値目標の設定に当たっては、各指標の全国デ-タ等を参考にするとともに、基本方針第7に掲げる諸計画に定められる目標を勘案するものとする。
なお、達成可能なものだけを目標とするのではなく、真に医療圏の課題を解決するために必要な目標を設定することとする。

6 施策
数値目標の達成には、課題に応じた施策を実施することが重要である。都道府県は、「4 課題の抽出」に対応するよう「5 数値目標」で設定した目標を達成するために行う施策について、医療計画に記載する。

7 評価
計画の実効性を高めるためには、評価を行い、必要に応じて計画の内容を見直すことが重要である。都道府県は、あらかじめ評価を行う体制を整え、医療計画の評価を行う組織や時期を医療計画に記載する。この際、少なくとも施策の進捗状況の評価については、1年ごとに行うことが望ましい。また、数値目標の達成状況、現状把握に用いた指標の状況について、少なくとも5年ごとに調査、分析及び評価を行い、必要があるときは、都道府県はその医療計画を変更することとする。
さらに、医療の質について客観的な評価を行うために、症例登録等を行うことが今後必要である。

8 公表
都道府県は、住民に分かりやすい形で医療計画を公表し、医療計画やその進捗状況を周知する必要がある。このため、指標による現状把握、目標項目、数値目標、施策やその進捗状況、評価体制や評価結果を公表する。その際、広く住民に周知を図るよう努めるものとする。


1 厚生労働省「国民健康・栄養調査」(平成19年)
2 厚生労働省「患者調査」(平成20年)
3 (社)日本透析医学会「我が国の慢性透析療法の現状」(平成22年末)
4 厚生労働省「人口動態統計(確定数)」(平成22年)
5 「平成24年度における特定健康診査及び特定保健指導に関する記録の取扱いについて」(平成24年2月29日厚生労働省健康局総務課・保険局総務課事務連絡)