2-2 災害時における医療体制の構築に係る指針


[通知] 疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について

災害時における医療体制の構築に係る指針

災害時における医療(以下「災害医療」という。)については、災害発生時に、災害の種類や規模に応じて利用可能な医療資源を可能な限り有効に使う必要があるとともに、平時から、災害を念頭に置いた関係機関による連携体制をあらかじめ構築しておくことが必要不可欠である。
また、平成23年3月に発生した東日本大震災を踏まえ、平成23年7月~10月に「災害医療等のあり方に関する検討会」を行い、今後の災害医療のあり方について報告書が取りまとめられた。このため、本指針ではこの報告書を踏まえ、災害医療体制の構築についてその考え方を示すものである。
本指針では、「第1 災害医療の現状」で災害医療がどのようなものであるのかについて概観し、次に「第2 医療機関とその連携」でどのような医療体制を構築するのかを示している。
都道府県は、これらを踏まえつつ、「第3 構築の具体的な手順」に則して、地域の現状を把握・分析し、また必要となる医療機能を明確に理解した上で、地域の実情に応じて圏域を設定し、その圏域ごとの医療機関とさらにそれらの医療機関間の連携の検討を行い、最終的には都道府県全体で評価まで行えるようにする。


第1 災害医療の現状

1 災害の現状
災害には、地震、風水害、火山災害、雪害等の自然災害から、海上災害、航空災害、鉄道災害、道路災害、大規模な事故による災害(事故災害)に至るまで様々な種類がある。また、同じ種類の災害であっても、発生場所、発生時刻や発生時期等によって被災・被害の程度は大きく異なる。
(1) 自然災害(地震に伴う津波や火事を含む)
自然災害の代表的なものとして、地震、風水害、火山災害、雪害等がある。
① 地震
我が国においては、木造建築物の多い密集市街地が広い範囲で存在するため、地震によって大規模火災が発生したり建物が崩壊したりするなど、これまでも多大な被害が発生してきた。
昭和23年の福井地震の後、死者が一千名を超える地震災害は、平成7年1月の阪神・淡路大震災(死者6,433名)のみであったが、平成23年3月に東日本大震災が発生し、死者15,845名、行方不明者3,375名(平成24年1月24日現在)に上っている1。
このため、遠くない時期に発生することが懸念されている東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震はもちろんのこと、それ以外の地域でも大規模地震の発生する可能性を考慮し、すべての地域で地震に対する災害医療体制を構築する必要がある。
② 風水害等
近年、集中豪雤が著しく増加しており、今後も、大雤の頻度や熱帯低気圧の強度の増加が予想されている。
平成22年は、台風については発生数が14個と少なかったものの、梅雤前線が停滞したため多くの人的被害や住宅被害等が発生した。また、火山噴火では、霧島山の新燃岳が噴火し、周辺地域に降灰による被害が生じた2。

<平成22年における風水害等の状況>

災害名

死者行方不明者

住家全壊

前線による豪

21

42

鹿児島県奄美地方における大

3

10

霧島山(新燃岳)の噴火

0名(負傷者42名)

0棟(空振現象による被害約900件)

平成2211月からの大雪

128

9



(2) 事故災害
事故災害として、鉄道災害、道路災害、大規模な火事災害、林野災害等の大規模な事故による災害等が挙げられる。
鉄道、海上及び航空交通等の各分野において、大量・高速輸送システムが進展し、ひとたび事故が発生した場合には、重大な事故になるおそれが指摘されている3。
例として、昭和60年に発生した日航機墜落事故(搭乗員524名中520名死亡)や平成17年4月に発生したJR福知山線尼崎脱線転覆事故(死者107名、負傷者555名)等が挙げられる。

2 災害医療の提供
我が国の災害医療体制は、国や自治体が一部支援しつつ、関係機関(救急医療機関、日本赤十字社、地域医師会等)において、地域の実情に応じた体制が整備されてきた。
さらに、平成7年に発生した阪神・淡路大震災を契機に、下記のような整備がなされており、平成23年に発生した東日本大震災を踏まえて見直しが行われたところである。
なお、原子力災害、危険物等災害及びテロ等への対策については、関係する法律に基づき体制整備がなされるものであり、本指針では対象としない。
(1) 災害拠点病院
平成8年度以降、災害拠点病院(基幹災害拠点病院及び地域災害拠点病院)の整備が図られ、平成24年1月現在、全国で638病院が指定されている。
災害拠点病院は、災害による重篤患者の救命医療等の高度の診療機能を有し、被災地からの患者の受入れ、広域医療搬送に係る対応等を行う。
災害拠点病院の整備開始からおよそ15年が経過する中で、災害拠点病院間において、その機能の充実度に格差が生じていると指摘されている。
そのため、今般の東日本大震災を踏まえて開催された「災害医療等のあり方に関する検討会」において、災害拠点病院についても検討が行われ、「災害発生時における医療体制の充実強化について」(平成24年3月21日医政発0321第2号厚生労働省医政局長通知)(以下「災害医療通知」という。)が発出されている。この中で、それぞれの災害拠点病院の機能強化を図ることとなっており、今後は災害拠点病院の要件を充足しているか随時確認することが重要である。
なお、地震等の災害時には、外傷、広範囲熱傷、挫滅症候群※等が多く発生するが、平時においてこれらの診療の多くは救命救急センタ-が担っていることから、原則として、災害拠点病院は救命救急センタ-もしくは第二次救急病院の機能を有する必要があり、また後述する災害派遣医療チ-ム(DMAT)を保有しておくべきである。
※ 挫滅症候群
身体の一部、特に四肢が瓦礫等により圧迫されると筋肉等が損傷を受け、壊死した筋細胞からカリウム等が漏出する。その後、圧迫が解除されると、血液中にそれらが大量に流れ込むことにより、不整脈や急性腎不全等を来し致死的になる疾患
(2) 災害派遣医療チ-ム(DMAT:Disaster Medical Assistance Team)
平成17年度以降、災害急性期(概ね発災後48時間)にトレ-ニングを受けた医療チ-ムが災害現場へできるだけ早期に出向いて救命医療を行うことが、予防できる被災者の死の回避につながるとの認識の下、「災害派遣医療チ-ム(DMAT)」の養成が開始された。
平成24年3月30日現在、1002チ-ムが編成されている。
DMATの果たす任務と役割は、災害発生後直ちに被災地に入り、「被災地内におけるトリア-ジや救命処置」、「患者を近隣・広域へ搬送する際における必要な観察・処置」、「被災地内の病院における診療支援」等を行うことである。
一度に数名から十数名程度の患者が発生する災害では、必要に応じて近隣のDMATが災害現場へ入り、トリア-ジや救命処置等の医療支援を現場で行う。
新潟県中越地震(平成16年)や尼崎列車事故(平成17年)等の規模で人的被害が発生するような災害では、近隣のDMATが、災害現場で医療支援を行うことに加えて、災害拠点病院等の負傷者の集まる被災地域の病院で医療支援を行い、場合によっては、患者を近隣地域の災害拠点病院へ搬送する際の医療支援を行う。
また、東日本大震災(平成23年)や、今後発生が懸念される東海地震などによって甚大な人的被害が発生するような災害では、これらの対応に加えて、遠隔地域からもDMATが被災地域へ入り、被災地域では対応困難な患者を遠隔地域へ多数広域医療搬送する際の医療支援を行う。
これまでのDMATの活動実績としては、東日本大震災(平成23年)において47都道府県のDMATが出動し、被災県に約380チ-ムが病院支援や域内搬送、広域医療搬送を実施した事例や、新潟県中越沖地震(平成19年)や岩手・宮城内陸地震(平成20年)において、近隣県からDMATが出動し、病院支援や現場活動等が行われた事例が挙げられる。
なおDMATの活動は、都道府県と医療機関の間で平時において締結された協定等に基づいて運用されており、協定を締結した都道府県は現在41都道府県(平成23年3月現在)となっている。
災害時におけるDMATの活動基準や費用・補償について明確する点からも、すべての都道府県において、都道府県とそれぞれの管下のDMAT派遣機能を持つ医療機関との間で、協定が結ばれていることが必要である。
また、地域防災計画においてDMATの役割について明示することなどにより、DMAT活動が円滑に行われるよう配慮することも重要である。
(3) 医療チ-ム(救護班)
災害が沈静化した後においても、避難所や救護所等に避難した住民等に対する健康管理を中心とした医療が必要となるため、日本医師会(JMAT:Japan Medical Association Team)、日本赤十字社や各種医療団体等を中心とした医療チ-ムが、DMATとも連携しつつ、引き続いて活動を行っている。
今後、わが国の高齢化の進展とともに、どのような災害においても、高齢者等の災害弱者の割合が増加することが見込まれ、健康管理を中心とした活動はより重要となる。
なお、こうした医療チ-ムの活動に際しては、災害医療通知に基づき、今後速やかに、コ-ディネ-ト機能を担う体制を整備しておくことが必要である。すなわち、都道府県においては、災害対策本部のもとに派遣調整本部を設置し、医療チ-ムの派遣調整等を行い、超急性期にはDMAT都道府県調整本部とも連携して情報の共有を行う。さらに、保健所管轄区域や市町村単位等では、地域災害医療対策会議を開催し、派遣調整本部から派遣された医療チ-ムや自主的に集合した医療チ-ムの派遣調整等を行う。
(4) 広域災害・救急医療情報システム(EMIS:Emergency Medical Information System)
災害時の迅速な対応が可能となるよう、患者の医療機関受診状況、ライフラインの稼動状況等の情報を、災害時において相互に収集・提供する「広域災害・救急医療情報システム」が全国的に整備されてきた。平成23年7月現在40都道府県で導入されている。
なお、平成22年には、広域医療搬送を支援するために、EMISでの広域医療搬送に関する入力項目の追加を行い、運用を開始した。
災害時において機能する情報システムを構築し、活用するためには、平時から医療関係者、行政関係者等の災害医療関係者が、この情報システムについて理解し、日頃から入力訓練等を行う必要がある。
また、実際に災害が起きた際には、被災した病院に代わって県や保健所等が、情報システムへの代行入力を行うことが可能であり、地域全体として情報の提供と収集を行う体制を整備することが重要である。


第2 医療機関とその連携

1 目指すべき方向
前記「第1 災害医療の現状」を踏まえ、個々の役割と医療機能、それを満たす関係機関、さらにそれらの関係機関相互の連携により、災害時においても必要な医療が確保される体制を構築する。
また構築に当たっては、地域の防災計画と整合性を図る。
(1) 災害急性期(発災後48時間以内)において必要な医療が確保される体制
① 被災地の医療確保、被災した地域への医療支援が実施できる体制
② 必要に応じてDMATを直ちに派遣できる体制
(2) 急性期を脱した後も住民の健康が確保される体制
① 救護所、避難所等における健康管理が実施される体制

2 各医療機能と連携
前記「1 目指すべき方向」を踏まえ、災害医療体制に求められる医療機能を下記(1)から(3)に示す。
都道府県は、各医療機能の内容(目標、医療機関等に求められる事項等)について、地域の実情に応じて柔軟に設定する。
(1) 災害拠点病院としての機能【災害拠点病院】
① 目標
・ 多発外傷、挫滅症候群、広範囲熱傷等の災害時に多発する重篤救急
患者の救命医療を行うための高度の診療機能を有すること
・ 患者等の受入れ及び搬出を行う広域搬送に対応すること
・ 自己完結型の医療チ-ム(DMAT含む。)の派遣機能を有すること
・ 地域の医療機関への応急用資器材の貸出し機能を有すること
② 医療機関に求められる事項
基幹災害拠点病院は、都道府県において災害医療を提供する上での中心的な役割を担う。地域災害拠点病院は、地域において中心的な役割を担う。
・ 災害時に多発する重篤救急患者の救命医療を行うために必要な施設・設備、医療従事者を確保していること
・ 多数の患者に対応可能な居室や簡易ベッド等を有していること
・ 基幹災害拠点病院は病院の機能を維持するために必要な全ての施設、地域災害拠点病院は診療に必要な施設が耐震構造であること
・ 被災時においても電気、水、ガス等の生活必需基盤が維持可能であること
・ 災害時において必要な医療機能を発揮できるよう、自家発電機を保有していること
・ 災害時においても診療が継続できるよう、適切な容量の受水槽や井戸設備の整備、優先的な給水協定の締結等により、必要な水の確保に努めること
・ 飲料水・食料、医薬品、医療機材等を備蓄していること
・ 加えて、飲料水・食料、医薬品、医療機材等について、関係団体と協定を締結し、災害時に優先的に供給を受けられるようにしておくこと(ただし、医薬品等については、都道府県・関係団体間の協定等※
において、災害拠点病院への対応が含まれている場合は除く。)
・ 災害対策マニュアルの整備、研修・訓練等による人材育成を行うこと
・ 基幹災害拠点病院においては、災害医療に精通した医療従事者の育成(都道府県医師会等とも連携し、地域の医療従事者への研修を含む)の役割を担うこと
・ 病院敷地内又は病院近接地にヘリコプタ-の離着陸場(ヘリポ-ト)を有していること
・ 広域災害・救急医療情報システム(EMIS)に加入しており、災害時にデ-タを入力する複数の担当者を事前に決めておき、訓練を行うことでその使用方法に精通していること
※ 医薬品等の供給確保については、厚生労働省防災業務計画により各都道府県において策定することとされている「医薬品等の供給、管理のための計画」に基づいて体制を整えておくこと
③ 医療機関の例
・ 救命救急センタ-
・ 入院を要する救急医療を担う医療機関
(2) DMAT等医療従事者を派遣する機能【災害急性期の応援派遣】
① 目標
・ 被災地周辺に対し、DMAT等自己完結型の緊急医療チ-ムを派遣すること
・ 被災患者を受け入れる他の医療機関に被災患者が集中した場合等において、医療従事者の応援派遣を行うこと
② 医療機関に求められる事項
・ 国が実施するDMAT研修等必要な専門的トレ-ニングを受けている医療従事者チ-ムを確保していること
・ 被災地における自己完結型の医療救護に対応できる携行式の応急用医療資器材、応急用医薬品、テント、発電機等を有していること
・ 災害急性期を脱した後も住民が継続的に必要な医療を受けられるよう、日本医師会(JMAT)や日本赤十字社、医療関係団体等を中心とした医療チ-ムと連携を図ること
③ 医療機関の例
・ 災害拠点病院
・ 救命救急センタ-を有する病院
・ 日本赤十字社の開設する病院
(3) 救護所、避難所等において健康管理を実施する機能【災害中長期の応援派遣】
① 目標
・ 災害発生後、救護所、避難所に医療従事者を派遣し、被災者に対し、感染症のまん延防止、衛生面のケア、メンタルヘルスケアを適切に行うこと
② 医療機関に求められる事項
・ 感染症のまん延防止、衛生面のケア、メンタルヘルスケアを適切に行える医療従事者を確保していること
・ 携行式の応急用医療資器材、応急用医薬品を有していること
・ 災害急性期を脱した後も住民が継続的に必要な医療を受けられるよう、DMAT等急性期の医療チ-ムと連携を図ること
③ 医療機関等の例
・ 病院又は診療所
※日本医師会、大学病院、日本赤十字社、国立病院機構、日本病院会、全日本病院協会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会等の医療関係団体からも医療チ-ムが派遣される


第3 構築の具体的な手順

1 現状の把握
都道府県は、災害時の医療体制を構築するに当たって、(1)に示す項目を参考に、人口、医療資源及び医療連携等について、現状を把握する。
さらに、(2)に示す、医療機能ごとおよびストラクチャ-・プロセス・アウトカムごとに分類された指標例により、数値で客観的に現状を把握する。
なお、(2)の各項目について、参考として調査名を示しているが、その他必要に応じて調査を追加されたい。
(1) 医療資源・連携等に関する情報
・ 地勢情報、地質情報
・ 人口分布(時間帯別人口の状況)
・ 過去の災害発生状況(種別、地域別、件数)
・ 地域防災計画、管内の各自治体の防災計画、地域のハザ-ドマップ
・ 他の関係部局における体制(救助、搬送に係るシステム、インフラ)
・ 医療資源(医療機関、緊急医療チ-ム)
・ 医薬品、医療(衛生)材料等の備蓄、供給体制
(2) 指標による現状把握
別表7に掲げるような、医療機能ごと及びストラクチャ-・プロセス・アウトカムごとに分類された指標例により、地域の医療提供体制の現状を客観的に把握し、医療計画に記載する。その際、公的統計等により全都道府県で入手可能な指標(必須指標)と、独自調査やデ-タ解析等により入手可能な指標(推奨指標)に留意して、把握すること。

2 圏域の設定
(1) 都道府県は、災害時における医療体制を構築するに当たって、「第2 医療機関とその連携」を基に、前記「1 現状の把握」で収集した情報を分析し、原則として都道府県全体を圏域として、災害拠点病院が災害時に担うべき役割を明確にするとともに、大規模災害を想定し、都道府県をまたがる広域搬送等の広域連携体制を定める。
また、想定する災害の程度に応じ、災害拠点病院に加え、地域の実情に応じ、一般の医療機関(救命救急センタ-を有する病院、第二次救急病院、日本赤十字社の開設する病院等)の参画も得ることとする。
(2) 検討を行う場合は、地域医師会等の医療関係団体、現に災害医療に携わる者、消防防災主管部局、住民・患者、市町村等の各代表が参画する。

3 連携の検討
(1) 都道府県は、災害時における医療体制を構築するに当たって、救命医療、応援派遣、健康管理の各機能が被災時においても確保されるよう、また、関係機関の信頼関係が醸成されるよう配慮する。
また、医療機関、消防機関、消防防災主管部局、地域医師会等の関係者は、診療情報の共有、連携する施設・医師等専門職種の情報の共有に努める。
(2) 保健所は、「地域保健法第4条第1項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年厚生省告示第374号)の規定に基づき、また、「医療計画の作成及び推進における保健所の役割について」(平成19年7月20日健総発第0720001号健康局総務課長通知)を参考に、医療連携の円滑な実施に向けて、地域医師会等と連携して関係機関の調整を行うなど、積極的な役割を果たすこと。
(3) 医療計画には、原則として、各機能を担う医療機関の名称を記載することとする。
なお、地域によっては、医療資源の制約等によりひとつの医療機関が複数の機能を担うこともある。
さらに、医療機関等の名称については、例えば医療連携体制の中で各医療機能を担う医療機関等が圏域内に著しく多数存在する場合にあっては、地域の実情に応じて記載することで差し支えないが、住民に分かりやすい周知に努めるものとする。
また記載に当たっては下記の点に留意する。
① 災害拠点病院
災害拠点病院については、地勢的・地質的状況、地理的バランス(分散により、同時に被災する危険性を低下させる場合がある。)、受入能力、広域医療搬送ル-ト等を考慮の上、医療計画に記載する。また、対応するエリアも明記する。
② 広域搬送拠点臨時医療施設
広域医療搬送を想定し、広域搬送拠点臨時医療施設(SCU:Staging Care Unit)の設置場所及び協力を行う医療機関をあらかじめ定める。

4 課題の抽出
都道府県は、「第2 医療機関とその連携」を踏まえ、「1 現状の把握」で収集した情報や指標により把握した数値から明確となった現状について分析を行い、地域の災害医療体制の課題を抽出し、医療計画に記載する。
その際、現状把握に用いたストラクチャ-・プロセス・アウトカム指標の関連性も考慮し、病期・医療機能による分類も踏まえ、可能な限り医療圏ごとに課題を抽出する。

5 数値目標
都道府県は、良質かつ適切な災害時の医療を提供する体制について、事後に定量的な比較評価を行えるよう、「4 課題の抽出」で明確にした課題に対して、地域の実情に応じた目標項目やその数値目標、目標達成に要する期間を設定し、医療計画に記載する。
数値目標の設定に当たっては、各指標の全国デ-タ等を参考にするとともに、基本方針第7に掲げる諸計画に定められる目標を勘案するものとする。
なお、達成可能なものだけを目標とするのではなく、真に医療圏の課題を解決するために必要な目標を設定することとする。

6 施策
数値目標の達成には、課題に応じた施策を実施することが重要である。都道府県は、「4 課題の抽出」に対応するよう「5 数値目標」で設定した目標を達成するために行う施策について、医療計画に記載する。

7 評価
計画の実効性を高めるためには、評価を行い、必要に応じて計画の内容を見直すことが重要である。都道府県は、あらかじめ評価を行う体制を整え、医療計画の評価を行う組織や時期を医療計画に記載する。この際、少なくとも施策の進捗状況の評価については、1年ごとに行うことが望ましい。また、数値目標の達成状況、現状把握に用いた指標の状況について、少なくとも5年ごとに調査、分析及び評価を行い、必要があるときは、都道府県はその医療計画を変更することとする。

8 公表
都道府県は、住民に分かりやすい形で医療計画を公表し、医療計画やその進捗状況を周知する必要がある。このため、指標による現状把握、目標項目、数値目標、施策やその進捗状況、評価体制や評価結果を公表する。その際、広く住民に周知を図るよう努めるものとする。


1 平成24年1月24日警察庁緊急災害警備本部
2 内閣府「平成23年版 防災白書」
3 内閣府「平成23年版 交通安全白書」