2-4 周産期医療の体制構築に係る指針


[通知] 疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について

周産期医療の体制構築に係る指針

周産期とは妊娠22週から出生後7日未満のことをいい、周産期医療とは妊娠、分娩に関わる母体・胎児管理と出生後の新生児管理を主に対象とする医療のことをいう。これまで地域における総合的な周産期医療体制を整備し、安心して子どもを生み育てることができる環境づくりの推進を図ってきたところであり、これらの達成目標は「健やか親子21」(平成12年)や「子ども・子育てビジョン」(平成22年)にも目標値として盛り込まれているところである。
具体的には、地域の実情に応じた周産期医療体制として、 「周産期医療体制整備指針」(平成22年1月26日医政発0126第1号厚生労働省医政局長通知の別添2。以下「周産期整備指針」という。)に基づき、総合周産期母子医療センタ-、地域周産期母子医療センタ-及び搬送体制の整備等を行い、母体・胎児におけるリスクの高い妊娠に対する医療及び高度な新生児医療等の周産期医療を推進してきたところである。
本指針では、周産期の医療体制を構築するに当たり、周産期整備指針等を考慮に入れつつ、「第1 周産期医療の現状」で周産期医療をとりまく状況がどのようなものであるのかを概観し、次に「第2 医療機関とその連携」でどのような医療体制を構築すべきかを示している。
都道府県は、これらを踏まえつつ、「第3 構築の具体的な手順」に則して、地域の現状を把握・分析し、また分娩のリスクに応じて必要となる医療機能を理解した上で、地域の実情に応じて圏域を設定し、その圏域ごとの医療機関とさらにそれらの医療機関相互の連携の検討を行い、最終的には都道府県全体で評価まで行えるようにする。


第1 周産期医療の現状

1 周産期医療をとりまく状況
わが国における周産期医療の受療動向は、およそ以下のとおりとなっている。
(1) 分娩件数及び出生の場所1
分娩件数は、平成12年に約122万件であったが、平成22年には約109万件と約11%減少している。
出生場所は、昭和25年には「自宅・その他」で95.4%が出生していたが、昭和45年には3.9%となり、代わりに「病院・診療所」が85.4%、「助産所」が10.6%と増えている。
さらに平成22年には「病院・診療所」が98.9%、「助産所」が0.9%と推移している。
(2) 出生年齢の推移1
全出生中の35歳以上の割合は、昭和25年に15.6%(36.5万人)であったが、昭和45年に4.7%(9.1万人)、 平成22年に23.8%(25.6万人)と推移している。また、そのうち40歳以上の割合は3.3%(3.5万人)となっている。
(3) 複産の割合1
全分娩件数中の複産の割合は、平成12年に1.0%、平成17年に1.2%、平成22年に1.0%と推移している。
(4) 周産期死亡率及び死産率1
周産期死亡率(出産1000対)は、昭和55年に20.2、平成12年に5.8、平成22年に4.2と減少している。
妊娠満22週以後の死産率(出産1000対)は、昭和55年に16.4、平成12年に4.5、平成22年に3.4と減少している。
(5) 帝王切開術の割合2
全分娩における帝王切開術の割合は、平成2年に一般病院で11.2%、一般診療所で8.3%であったが、平成20年にそれぞれ23.3%、13.0%と大幅に上昇している。
(6) 低出生体重児1
低出生体重児(2,500グラム未満)の出生割合は、平成2年に6.3%、平成12年に8.6%、平成22年に9.6%と増加している。また、極低出生体重児(1,500グラム未満)について言えば、平成2年に0.5%、平成12年に0.7%、平成22年に0.8%と同様に増加している。
(7) 早産児1
早産児(在胎期間37週未満)の出生割合は、平成2年に4.5%、平成12年に5.4%、平成22年に5.7%と増加している。
(8) 新生児死亡率1
新生児死亡率(出生1000対)は、平成2年に2.6、平成12年に1.8、平成22年に1.1と減少している。
(9) その他(「健やか親子21」各課題の取組より)
妊産婦死亡率(出産10万対)は、平成12年の6.3が、平成22年に4.1となっている。
産後うつ病の発生率は、平成13年の13.4%が、平成21年に10.3%となっている3。
産婦人科医師数(産婦人科医及び産科医)は、平成12年の11,059人が、平成22年に10,652人となっている4。
助産師数は、平成12年の24,511人が、平成22年に29,672人となっている5。

2 周産期医療の提供体制
(1) 周産期医療の提供体制
① 施設分娩のうち、診療所と病院での出生がそれぞれ約半数を担い、助産所での出生は0.9%程度を担っている1。
また1~2名の医師による有床診療所が全分娩の約半数を担い、病院に勤務する産婦人科医も平均3名程度であり、さらに新生児集中治療管理室(NICU)1施設当たりの病床も3または6床の小規模の施設数が最も多い(2003年日本周産期・新生児医学会調査)など、施設の規模(1施設当たりの医師数)が小さい施設が多い6。
このように、わが国の周産期医療提供体制は、比較的小規模な多数の分娩施設が分散的に分娩を担うという特徴を有している。
② NICUの病床数は、平成14年に265施設、2122床であったが、平成20年に265施設、2310床となっている。また、母体・胎児集中治療室(MFICU)は平成8年より設置が開始され、平成14年に42施設、381床であったが、平成20年に77施設、512床と増加している2。
③ このような状況の中で、周産期医療に係る人的・物的資源を充実し、高度な医療を適切に供給する体制を整備するため、各都道府県において、総合周産期母子医療センタ-、地域周産期母子医療センタ-及び搬送体制等に関する周産期医療体制の整備が進められてきたところである。
④ また、平成17年12月22日付け医政局長、雇用均等・児童家庭局長連名通知「小児科・産科における医療資源の集約化・重点化の推進について」(以下「集約化推進通知」という。)において、小児科・産科の医師偏在問題については、医療資源の集約化・重点化の推進が当面の最も有効な方策であることを示したところである。
⑤ 「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会報告書」(平成21年3月)を受け、周産期医療対策事業の実施要綱に基づく周産期整備指針の見直しを行うため、平成22年1月に「周産期医療の確保について」(平成22年1月26日医政発0126第1号厚生労働省医政局長通知)を発出したところである。
(2) 産科医の実態
平成12年から平成22年までの間に医師全体の数が約3.9万人増加した一方、産科医(及び産婦人科医)の数は逆に約400人減少している4。
(3) 新生児医療を担当する医師の実態
新生児医療を担当する小児科医等は、平成12年に2640人、平成22年に3173人と増加している7。
(4) 助産師の実態
昭和30年の5.5万人から平成4年頃の2.3万人まで減少したが、平成22年に3.0万人まで回復している4。
助産所の数(助産所開設者数)は、平成8年に947施設であったものが、平成18年に683施設まで減少したが、平成22年に890施設まで回復している5。


第2 医療機関とその連携

1 目指すべき方向
前記「第1 周産期医療の現状」を踏まえ、個々の医療機能、それを満たす医療機関、さらにそれら医療機関相互の連携により、対応する分娩のリスクに応じた医療が提供される体制を構築する。
構築に当たっては、周産期整備指針に基づく周産期医療体制の構築として、医療機関間の連携、近隣都道府県等との連携(広域搬送・相互支援体制の構築等、県域を越えた母体及び新生児の搬送及び受入れが円滑に行われるための措置)、輸血の確保(地域の関係機関との連携を図り、血小板等輸血用血液製剤が緊急時の大量使用の場合も含め安定的に供給されるよう努める)等を推進するとともに、これまでのハイリスク分娩等に対する取組以外にも、正常分娩等に対する安全な医療を提供するための体制の確保や、周産期医療関連施設を退院した障害児等が生活の場で療養・療育できる体制の確保についても取り組むこととする。
(1) 正常分娩等に対し安全な医療を提供するための、周産期医療関連施設間の連携
① 正常分娩(リスクの低い帝王切開術を含む。)や妊婦健診等を含めた分娩前後の診療を安全に実施可能な体制
② ハイリスク分娩や急変時には地域周産期母子医療センタ-等へ迅速に搬送が可能な体制
(2) 周産期の救急対応が24時間可能な体制
① 総合周産期母子医療センタ-※、地域周産期母子医療センタ-※及びそ
れに準ずる施設を中心とした周産期医療体制による、24時間対応可能な周産期の救急対応
※ 周産期整備指針に規定されるもの。
(3) 新生児医療の提供が可能な体制
新生児搬送や新生児集中治療管理室(NICU)の後方病室確保を含めた新生児医療の提供が可能な体制
(4) NICUに入室している新生児の療養・療育支援が可能な体制
周産期医療関連施設を退院した障害児等が生活の場で療養・療育できるよう、医療、保健及び福祉サ-ビスが相互に連携した支援

2 各医療機能と連携
前記「1 目指すべき方向」を踏まえ、周産期の医療体制に求められる医療機能を下記(1)から(4)に示す。
都道府県は、各医療機能の内容(目標、医療機関等に求められる事項等)について、地域の実情に応じて柔軟に設定する。
(1) 正常分娩等を扱う機能(日常の生活・保健指導及び新生児の医療の相談を含む。)【正常分娩】
① 目標
・ 正常分娩に対応すること
・ 妊婦健診等を含めた分娩前後の診療を行うこと
・ 地域周産期母子医療センタ-及びそれに準ずる施設など他の医療機関との連携により、リスクの低い帝王切開術に対応すること
② 医療機関に求められる事項
・ 産科に必要とされる検査、診断、治療が実施可能であること
・ 正常分娩を安全に実施可能であること
・ 他の医療機関との連携により、合併症や、帝王切開術その他の手術に適切に対応できること
・ 妊産婦のメンタルヘルスに対応可能であること
③ 医療機関の例
・ 産科又は産婦人科を標榜する病院又は診療所
・ 連携病院(集約化推進通知に規定されるもの)
・ 助産所
(2) 周産期に係る比較的高度な医療行為を行うことができる機能【地域周産期母子医療センタ-】
① 目標
・ 周産期に係る比較的高度な医療行為を実施すること
・ 24時間体制での周産期救急医療(緊急帝王切開術、その他の緊急手術を含む。)に対応すること
② 医療機関に求められる事項
周産期整備指針第2の2地域周産期母子医療センタ-の項を参照されたい。
(参考:周産期整備指針より)
ア 機能
(ア) 地域周産期母子医療センタ-は、産科及び小児科(新生児診療を担当するもの)等を備え、周産期に係る比較的高度な医療行為を行うことができる医療施設を都道府県が認定するものである。ただし、NICUを備える小児専門病院等であって、都道府県が適当と認める医療施設については、産科を備えていないものであっても、地域周産期母子医療センタ-として認定することができるものとする。
(イ) 地域周産期母子医療センタ-は、地域周産期医療関連施設等からの救急搬送や総合周産期母子医療センタ-その他の地域周産期医療関連施設等との連携を図るものとする。
(ウ) 都道府県は、各地域周産期母子医療センタ-において設定された提供可能な新生児医療の水準について、医療計画および周産期医療体制整備計画に明記するなどにより、関係者及び住民に情報提供するものとする。
イ 整備内容
(ア) 施設数
地域周産期母子医療センタ-は、総合周産期母子医療センタ-1か所に対して数か所の割合で整備するものとし、1つ又は複数の2次医療圏に1か所又は必要に応じそれ以上整備することが望ましい。
(イ) 診療科目
地域周産期母子医療センタ-は、産科及び小児科(新生児医療を担当するもの)を有するものとし、麻酔科及びその他関連診療科を有することが望ましい。ただし、NICUを備える小児専門病院等であって、都道府県が適当と認める医療施設については、産科を有していなくても差し支えないものとする。
(ウ) 設備
地域周産期母子医療センタ-は、次に掲げる設備を備えるものとする。
a 産科を有する場合は、次に掲げる設備を備えることが望ましい。
(a) 緊急帝王切開術等の実施に必要な医療機器
(b) 分娩監視装置
(c) 超音波診断装置(カラ-ドップラ-機能を有するものに限る。)
(d) 微量輸液装置
(e) その他産科医療に必要な設備
b 小児科等には新生児病室を有し、次に掲げる設備を備えるNICUを設けることが望ましい。
(a) 新生児用呼吸循環監視装置
(b) 新生児用人工換気装置
(c) 保育器
(d) その他新生児集中治療に必要な設備
ウ 職員
地域周産期母子医療センタ-は、次に掲げる職員を配置することが望ましい。
(ア) 小児科(新生児医療を担当するもの)については、24時間体制を確保するために必要な職員
(イ) 産科を有する場合は、帝王切開術が必要な場合に迅速(おおむね30分以内)に手術への対応が可能となるような医師(麻酔科医を含む。)及びその他の各種職員
(ウ)新生児病室については、次に掲げる職員
a 24時間体制で病院内に小児科を担当する医師が勤務していること。
b 各地域周産期母子医療センタ-において設定した水準の新生児医療を提供するために必要な看護師が適当数勤務していること。
c 臨床心理士等の臨床心理技術者を配置すること。
エ 連携機能
地域周産期母子医療センタ-は、総合周産期母子医療センタ-からの戻り搬送の受入れ、オ-プンシステム・セミオ-プンシステム等の活用、合同症例検討会等の開催等により、総合周産期母子医療センタ-その他の地域周産期医療関連施設等と連携を図るものとする。
③ 医療機関の例
・ 地域周産期母子医療センタ-等
・ 連携強化病院(集約化推進通知に規定されるもの)
(3) 母体又は児におけるリスクの高い妊娠に対する医療及び高度な新生児医療等の周産期医療を行うことができる機能【総合周産期母子医療センタ-】
① 目標
・ 合併症妊娠、胎児・新生児異常等母体又は児にリスクの高い妊娠に対する医療、高度な新生児医療等を行うことができるとともに、必要に応じて当該施設の関係診療科又は他の施設と連携し、産科合併症以外の合併症を有する母体に対応すること。
・ 周産期医療体制の中核として地域周産期医療関連施設等との連携を図ること
② 医療機関に求められる事項
周産期整備指針第2の1総合周産期母子医療センタ-の項を参照されたい。
(参考:周産期整備指針より)
ア 機能
(ア) 総合周産期母子医療センタ-は、相当規模のMFICUを含む産科病棟及びNICUを含む新生児病棟を備え、常時の母体及び新生児搬送受入体制を有し、合併症妊娠(重症妊娠高血圧症候群、切迫早産等)、胎児・新生児異常(超低出生体重児、先天異常児等)等母体又は児におけるリスクの高い妊娠に対する医療、高度な新生児医療等の周産期医療を行うことができるとともに、必要に応じて当該施設の関係診療科又は他の施設と連携し、脳血管疾患、心疾患、敗血症、外傷等を有する母体に対応することができる医療施設を都道府県が指定するものである。
(イ) 総合周産期母子医療センタ-は、地域周産期医療関連施設等からの救急搬送を受け入れるなど、周産期医療体制の中核として地域周産期母子医療センタ-その他の地域周産期医療関連施設等との連携を図るものとする。
イ 整備内容
(ア) 施設数
総合周産期母子医療センタ-は、原則として、三次医療圏に一か所整備するものとする。
ただし、都道府県の面積、人口、地勢、交通事情、周産期受療状況及び地域周産期医療関連施設の所在等を考慮し、三次医療圏に複数設置することができるものとする。なお、三次医療圏に総合周産期母子医療センタ-を複数設置する場合は、周産期医療情報センタ-等に母体搬送及び新生児搬送の調整等を行う搬送コ-ディネ-タ-を配置する等により、母体及び新生児の円滑な搬送及び受入れに留意するものとする。
(イ) 診療科目
総合周産期母子医療センタ-は、産科及び新生児医療を専門とする小児科(MFICU及びNICUを有するものに限る。)、麻酔科その他の関係診療科を有するものとする。
(ウ) 関係診療科との連携
総合周産期母子医療センタ-は、当該施設の関係診療科と日頃から緊密な連携を図るものとする。
総合周産期母子医療センタ-を設置する医療施設が救命救急センタ-を設置している場合又は救命救急センタ-と同等の機能を有する場合(救急科、脳神経外科、心臓血管外科又は循環器内科、放射線科、内科、外科等を有することをいう。)は、都道府県は、その旨を医療計画及び周産期医療体制整備計画に記載し、関係者及び住民に情報提供するものとする。また、総合周産期母子医療センタ-を設置する医療施設が救命救急センタ-を設置していない場合又は救命救急センタ-と同等の機能を有していない場合は、都道府県は、当該施設で対応できない母体及び新生児の疾患並びに当該疾患について連携して対応する協力医療施設を医療計画及び周産期医療体制整備計画に記載し、関係者及び住民に情報提供するものとする。
(エ) 設備等
総合周産期母子医療センタ-は、次に掲げる設備等を備えるものとする。
a MFICU
MFICUには、次に掲げる設備を備えるものとする。なお、MFICUは、必要に応じ個室とするものとする。
(a) 分娩監視装置
(b) 呼吸循環監視装置
(c) 超音波診断装置(カラ-ドップラ-機能を有するものに限る。)
(d) その他母体・胎児集中治療に必要な設備
b NICU
NICUには、次に掲げる装置を備えるものとする。
(a) 新生児用呼吸循環監視装置
(b) 新生児用人工換気装置
(c) 超音波診断装置(カラ-ドップラ-機能を有するものに限る。)
(d) 新生児搬送用保育器
(e) その他新生児集中治療に必要な設備
c 新生児治療回復室(GCU)
GCUには、NICUから退出した児並びに輸液、酸素投与等の処置及び心拍呼吸監視装置の使用を必要とする新生児の治療に必要な設備を備えるものとする。
d 新生児と家族の愛着形成を支援するための設備
新生児と家族の愛着形成を支援するため、長期間入院する新生児を家族が安心して見守れるよう、NICU、GCU等への入室面会及び母乳保育を行うための設備、家族宿泊施設等を備えることが望ましい。
e ドクタ-カ-
医師の監視の下に母体又は新生児を搬送するために必要な患者監視装置、人工呼吸器等の医療機器を搭載した周産期医療に利用し得るドクタ-カ-を必要に応じ整備するものとする。
f 検査機能
血液一般検査、血液凝固系検査、生化学一般検査、血液ガス検査、輸血用検査、エックス線検査、超音波診断装置(カラ-ドップラ-機能を有するものに限る。)による検査及び分娩監視装置による連続的な監視が常時可能であるものとする。
ウ 病床数
(ア)MFICU及びNICUの病床数は、都道府県の人口や当該施設の過去の患者受入実績等に応じ、総合周産期母子医療センタ-としての医療の質を確保するために適切な病床数とすることを基本とし、MFICUの病床数は6床以上、NICUの病床数は9床以上(12床以上とすることが望ましい。)とする。ただし、三次医療圏の人口が概ね100万人以下の地域に設置されている場合にあっては、当分の間、MFICUの病床数は3床以上、NICUの病床数は6床以上で差し支えないものとする。
なお、両室の病床数については、以下のとおり取扱うものとする。
a MFICUの病床数は、これと同等の機能を有する陣痛室の病床を含めて算定して差し支えない。ただし、この場合においては、陣痛室以外のMFICUの病床数は6床を下回ることができない。
b NICUの病床数は、新生児用人工換気装置を有する病床について算定するものとする。
(イ) MFICUの後方病室(一般産科病床等)は、MFICUの2倍以上の病床数を有することが望ましい。
(ウ) GCUは、NICUの2倍以上の病床数を有することが望ましい。
エ 職員
総合周産期母子医療センタ-は、次に掲げる職員をはじめとして適切な勤務体制を維持する上で必要な数の職員の確保に努めるものとする。なお、総合周産期母子医療センタ-が必要な数の職員を確保できない場合には、都道府県は、当該医療施設に対する適切な支援及び指導を行うものとする。
(ア) MFICU
a 24時間体制で産科を担当する複数(病床数が6床以下であって別途オンコ-ルによる対応ができる者が確保されている場合にあっては1名)の医師が勤務していること。
b MFICUの全病床を通じて常時3床に1名の助産師又は看護師が勤務していること。
(イ) NICU
a 24時間体制で新生児医療を担当する医師が勤務していること。
なお、NICUの病床数が16床以上である場合は、24時間体制で新生児医療を担当する複数の医師が勤務していることが望ましい。
b 常時3床に1名の看護師が勤務していること。
c 臨床心理士等の臨床心理技術者を配置すること。
(ウ) GCU
常時6床に1名の看護師が勤務していること。
(エ) 分娩室
原則として、助産師及び看護師が病棟とは独立して勤務していること。
ただし、MFICUの勤務を兼ねることは差し支えない。
(オ) 麻酔科医
麻酔科医を配置すること。
(カ) NICU入院児支援コ-ディネ-タ-
NICU、GCU等に長期入院している児童について、その状態に応じた望ましい療育・療養環境への円滑な移行を図るため、新生児医療、地域の医療施設、訪問看護ステ-ション、療育施設・福祉施設、在宅医療・福祉サ-ビス等に精通した看護師、社会福祉士等を次に掲げる業務を行うNICU入院児支援コ-ディネ-タ-として配置することが望ましい。
a NICU、GCU等の長期入院児の状況把握
b 望ましい移行先(他医療施設、療育施設・福祉施設、在宅等)との連携及び調整
c 在宅等への移行に際する個々の家族のニ-ドに合わせた支援プログラムの作成並びに医療的・福祉的環境の調整及び支援
d その他望ましい療育・療養環境への移行に必要な事項
オ 連携機能
総合周産期母子医療センタ-は、オ-プンシステム・セミオ-プンシステム等の活用、救急搬送の受入れ、合同症例検討会の開催等により、地域周産期母子医療センタ-その他の地域周産期医療関連施設等と連携を図るものとする。
カ 周産期医療情報センタ-
(ア) 周産期医療情報センタ-の設置
都道府県は、総合周産期母子医療センタ-等に周産期医療情報センタ-を設置するものとする。
(イ) 周産期救急情報システムの運営
a 周産期医療情報センタ-は、総合周産期母子医療センタ-、地域周産期母子医療センタ-その他の地域周産期医療関連施設等と通信回線等を接続し、周産期救急情報システムを運営するものとする。
b 周産期医療情報センタ-は、次に掲げる情報を収集し、関係者に提供するものとする。
(a) 周産期医療に関する診療科別医師の存否及び勤務状況
(b) 病床の空床状況
(c) 手術、検査及び処置の可否
(d) 重症例の受入れ可能状況
(e) 救急搬送に同行する医師の存否
(f) その他地域の周産期医療の提供に関し必要な事項
(ウ) 情報収集・提供の方法
周産期医療情報センタ-は、電話、FAX、コンピュ-タ-等適切な方法により情報を収集し、関係者に提供するものとする。
(エ) 救急医療情報システムとの連携
周産期救急情報システムについては、救急医療情報システムとの一体的運用や相互の情報参照等により、救急医療情報システムと連携を図るものとする。また、周産期救急情報システムと救急医療情報システムを連携させることにより、総合周産期母子医療センタ-、地域周産期母子医療センタ-その他の地域周産期医療関連施設、救命救急センタ-、消防機関等が情報を共有できる体制を整備することが望ましい。
キ 搬送コ-ディネ-タ-
都道府県は、周産期医療情報センタ-、救急医療情報センタ-等に、次に掲げる業務を行う搬送コ-ディネ-タ-を配置することが望ましい。
(ア) 医療施設又は消防機関から、母体又は新生児の受入医療施設の調整の要請を受け、受入医療施設の選定、確認及び回答を行うこと。
(イ) 医療施設から情報を積極的に収集し、情報を更新するなど、周産期救急情報システムの活用推進に努めること。
(ウ) 必要に応じて、住民に医療施設の情報提供を行うこと。
(エ) その他母体及び新生児の搬送及び受入れに関し必要な事項
ク 周産期医療関係者に対する研修
都道府県は、地域周産期医療関連施設等の医師、助産師、看護師、搬送コ-ディネ-タ-、NICU入院児支援コ-ディネ-タ-等に対し、地域の保健医療関係機関・団体等と連携し、総合周産期母子医療センタ-等において、必要な専門的・基礎的知識及び技術を習得させるため、到達目標を定め、その研修を行うものとする。
(ア)到達目標の例
a 周産期医療に必要とされる基本的な知識及び技術の習得
b 緊急を要する母体及び新生児に対する的確な判断力及び高度な技術を習得
(イ)研修内容の例
a 産科
(a)胎児及び母体の状況の適切な把握と迅速な対応
(b)産科ショックとその対策
(c)妊産婦死亡とその防止対策
(d)帝王切開の問題点
b 新生児医療
(a) ハイリスク新生児の医療提供体制
(b) 新生児関連統計・疫学デ-タ
(c) 新生児搬送の適応
(d) 新生児蘇生法
(e) ハイリスク新生児の迅速な診断
(f) 新生児管理の実際
(g) 退院後の保健指導、フォロ-アップ実施方法等
c その他
(a) 救急患者の緊急度の判断、救急患者の搬送及び受入ル-ル等
(b) 他の診療科との合同の症例検討会等
③ 医療機関の例
・ 総合周産期母子医療センタ-等
(4) 周産期医療関連施設を退院した障害児等が生活の場(施設を含む)で療養・療育できるよう支援する機能【療養・療育支援】
① 目標
・ 周産期医療関連施設を退院した障害児等が生活の場(施設を含む。)で療養・療育できる体制を提供すること(地域の保健・福祉との連携等)
・ 在宅において療養・療育を行っている児の家族に対する支援を実施すること
② 医療機関等に求められる事項
・ 周産期医療関連施設等と連携し、人工呼吸器の管理が必要な児や、気管切開等のある児の受入れが可能であること
・ 児の急変時に備え、救急対応可能な病院等との連携が図れていること
・ 訪問看護ステ-ション、薬局、福祉サ-ビス事業者及び自治体等との連携により、医療、保健及び福祉サ-ビス(レスパイトを含む。)を調整し、適切に療養・療育できる体制を提供すること
・ 地域又は総合周産期母子医療センタ-等の周産期医療関連施設等と連携し、療養・療育が必要な児の情報(診療情報や治療計画等)を共有していること
・ 医療型障害児入所施設等の自宅以外の場においても、障害児の適切な療養・療育を支援すること
・ 家族に対する精神的サポ-ト等の支援を実施すること
③ 医療機関等の例
・ 小児科を標榜する病院又は診療所
・ 在宅医療を行っている診療所
・ 訪問看護ステ-ション
・ 医療型障害児入所施設


第3 構築の具体的な手順

1 現状の把握
都道府県は、周産期医療の体制を構築するに当たって、(1)(2)に示す項目を参考に、患者動向、医療資源及び医療連携等について、現状を把握する。
さらに、(3)に示す、医療機能ごとおよびストラクチャ-・プロセス・アウトカムごとに分類された指標例により、数値で客観的に現状を把握する。
なお、(1)~(3)の各項目について、参考として調査名を示しているが、その他必要に応じて調査を追加されたい。
(1) 患者動向に関する情報
・ 出生率(人口動態統計)
・ 合計特殊出生率(人口動態統計)
・ 分娩数(帝王切開件数を含む。)(医療施設調査)、正常分娩数
・ 死産率(人口動態統計)
・ 低出生体重児出生率(人口動態統計)
・ 新生児、乳児、乳幼児の死亡率(人口動態統計)
・ 周産期死亡率(人口動態統計)
・ NICU入室児数(医療施設調査)
・ 妊産婦死亡率(人口動態統計)
・ 産後訪問指導を受けた割合(地域保健・健康増進事業報告)
・ 重症心身障害児の数、身体障害者手帳交付数(18歳未満)(福祉行政報告例)
・ 小児在宅人工呼吸器患者数
・ 療養療育施設入所児童数
(2) 医療資源・連携等に関する情報
① 救急搬送
・ 母体搬送、新生児搬送等の救急搬送件数
・ 搬送先医療機関
・ 周産期救急情報システム等の活用状況
・ 救急要請から医療機関収容までに要した平均時間
・ 搬送先医療機関の選定において問い合わせた周産期医療関連施設数
② 医療機関等
ア 正常分娩に対応する病院・診療所
・ 分娩数等の診療内容及び診療体制等
産科医及び産婦人科医の数
助産師数 等
・ 対応可能な分娩
母体、胎児の条件 等
・ 医療連携の状況
リスクの低い帝王切開術に対応するための連携状況
オ-プンシステムへの参加状況
医療機器共同利用の状況
他の医療機関との診療情報や治療計画の共有の状況 等
イ 分娩を取り扱う助産所(院内助産所を含む。)
・ 分娩数等の診療内容及び診療体制等(助産師数)
・ 対応可能な分娩(母体、胎児の条件等)
・ 医療連携の状況(嘱託医、嘱託医療機関の産科医との連携状況等)
ウ 周産期医療施設
・ 設備
新生児集中治療管理室(NICU)の病床数
母体・胎児集中治療管理室(MFICU)の病床数
ドクタ-カ-など新生児搬送用救急車の配備状況 等
・ 分娩数等の診療内容及び診療体制等
産科医及び産婦人科医の数
新生児の医療を担当する医師数
助産師数 等
・ 対応可能な分娩
母体、胎児の条件 等
・ 医療連携の状況
他の医療機関からの搬送受入状況
オ-プンシステムの実施状況
医療機器共同利用の状況
他の医療機関との診療情報や治療計画の共有の状況
在宅療養・療育を支援する機能を持った施設等との連携状況等
エ 在宅療養・療育を支援する機能を持った施設
・ 診療内容及び診療体制等
医師数、看護師数 等
・ 対応可能な医療内容
人工呼吸器管理、気管切開のケア、痰の吸引のある児 等
・ 医療連携の状況
他の医療機関からの紹介状況
救急対応可能な病院等との事前の連携状況
医療型障害児入所施設等との連携状況
他の医療機関との診療情報や治療計画の共有の状況 等
(3) 指標による現状把握
別表9に掲げるような、医療機能ごと及びストラクチャ-・プロセス・アウトカムごとに分類された指標例により、地域の医療提供体制の現状を客観的に把握し、医療計画に記載する。その際、公的統計等により全都道府県で入手可能な指標(必須指標)と、独自調査やデ-タ解析等により入手可能な指標(推奨指標)に留意して、把握すること。

2 圏域の設定
(1) 都道府県は、周産期医療体制を構築するに当たって、「第2 医療機関とその連携」を基に、前記「1 現状の把握」で収集した情報を分析し、妊産婦、胎児及び新生児のリスクや重症度に応じて必要となる医療機能を明確にして、圏域を設定する。
(2) 医療機能を明確化するに当たって、地域によっては、医療資源の制約等によりひとつの施設が複数の機能を担うこともあり得る。逆に、圏域内に機能を担う施設が存在しない場合には、圏域の再設定を行うこともあり得る。
(3) 圏域を設定するに当たっては、重症例(重症の産科疾患、重症の合併症妊娠、胎児異常症例等)を除く産科症例の診療が圏域内で完結することを目安に、従来の二次医療圏にこだわらず地域の医療資源等の実情に応じて弾力的に設定する。
(4) 検討を行う場合は、地域医師会等の医療関係団体、現に周産期医療の診療に従事する者、住民・患者、市町村等の各代表が参画する。
また、現行の周産期医療協議会を十分に尊重・活用する。

3 連携の検討
(1) 都道府県は、周産期医療の体制を構築するに当たって、分娩の安全確保を考慮した上で、地域の医療機関が妊産婦、胎児及び新生児のリスクや重症度に応じて機能を分担する連携となるよう、また、関係機関・施設の信頼関係を醸成するよう配慮する。
さらに、医療機関、地域医師会等関係者は、診療技術や知識の共有、診療情報の共有、連携する施設・医師等専門職種の情報の共有に努める。
(2) 保健所は、「地域保健法第4条第1項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年厚生省告示第374号)の規定に基づき、また、「医療計画の作成及び推進における保健所の役割について」(平成19年7月20日健総発第0720001号健康局総務課長通知)を参考に、医療連携の円滑な実施に向けて、地域医師会等と連携して医療機関相互の調整を行うなど、積極的な役割を果たすこと。
(3) 都道府県域の県境地域においては、道路状況や地域住民の受療動向により、県内医療機関と県外医療機関との連携体制を検討する。
その場合、隣接都道府県関係者からなる協議会を設置する等により合意を得る。
(4) 医療計画には、原則として、各医療機能を担う医療機関の名称を記載する。
なお、地域によっては、医療資源の制約等によりひとつの医療機関が複数の機能を担うこともある。
さらに、医療機関等の名称については、例えば医療連携体制の中で各医療機能を担う医療機関等が圏域内に著しく多数存在する場合にあっては、地域の実情に応じて記載することで差し支えないが、住民に分かりやすい周知に努めるものとする。
(5) 集約化・重点化を実施するための計画との整合性を図る。
① 連携強化病院の体制
② 連携病院の体制
③ 連携強化病院と連携病院の連携体制
④ 連携強化病院における地域の周産期医療施設の支援体制
⑤ 医療機関間における搬送体制

4 課題の抽出
都道府県は、「第2 医療機関とその連携」を踏まえ、「1 現状の把握」で収集した情報や指標により把握した数値から明確となった現状について分析を行い、地域の周産期医療体制の課題を抽出し、医療計画に記載する。
その際、現状分析に用いたストラクチャ-、プロセス、アウトカム指標の関連性も考慮し、病期・医療機能による分類も踏まえ、可能な限り医療圏ごとに課題を抽出する。

5 数値目標
都道府県は、良質かつ適切な周産期医療を提供する体制について、事後に定量的な比較評価を行えるよう、「4 課題の抽出」で明確にした課題に対して、地域の実情に応じた目標項目やその数値目標、目標達成に要する期間を設定し、医療計画に記載するものとする。
数値目標の設定に当たっては、各指標の全国デ-タ等を参考にするとともに、基本方針第7に掲げる諸計画に定められる目標を勘案するものとする。
なお、達成可能なものだけを目標とするのではなく、真に医療圏の課題を解決するために必要な目標を設定することとする。

6 施策
数値目標の達成には、課題に応じた施策を実施することが重要である。都道府県は、「4 課題の抽出」に対応するよう「5 数値目標」で設定した目標を達成するために行う施策について、医療計画に記載する。

7 評価
計画の実効性を高めるためには、評価を行い、必要に応じて計画の内容を見直すことが重要である。都道府県は、あらかじめ評価を行う体制を整え、医療計画の評価を行う組織や時期を医療計画に記載する。この際、少なくとも施策の進捗状況の評価については、1年ごとに行うことが望ましい。また、数値目標の達成状況、現状把握に用いた指標の状況について、少なくとも5年ごとに調査、分析及び評価を行い、必要があるときは、都道府県はその医療計画を変更することとする。

8 公表
都道府県は、住民に分かりやすい形で医療計画を公表し、医療計画やその進捗状況を周知する必要がある。このため、指標による現状把握、目標項目、数値目標、施策やその進捗状況、評価体制や評価結果を公表する。その際、広く住民に周知を図るよう努めるものとする。


1 厚生労働省「人口動態統計(確定数)」(平成22年)
2 厚生労働省「医療施設調査」(平成20年)
3 厚生労働科学研究「健やか親子21を推進するための母子保健情報の利活用に関する研究」(主任研究者 山縣然太朗)(平成21年)
4 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」(平成22年)
5 厚生労働省「衛生行政報告例」(平成22年)
6 日本産科婦人科学会「最終報告書-わが国の産婦人科医療の将来像とそれを達成するための具体策の提言-」
7 日本未熟児新生児学会会員数