2-5 小児医療の体制構築に係る指針


[通知] 疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について

小児医療の体制構築に係る指針

小児医療については、これまで未熟児養育医療、小児慢性特定疾患治療研究事業、自立支援事業(育成医療)等に対する公費負担事業や重症度に応じた救急医療体制の整備等の対策を進めてきたところであり、これらの達成目標は、「健やか親子21」(平成12年)や「子ども・子育てビジョン」(平成22年)にも目標値として盛り込まれているところである。
さらに、平成17年8月に関係省庁により発表された「医師確保総合対策」等において小児科医の不足が指摘されたことから、都道府県に対し、平成17年12月22日付け医政局長、雇用均等・児童家庭局長連名通知「小児科・産科における医療資源の集約化・重点化の推進について」(以下「集約化推進通知」という。)において、小児科・産科の医師偏在問題については、医療資源の集約化・重点化の推進が当面の最も有効な方策であることを示したところである。
また、平成21年7月に示された「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」の中間取りまとめに基づき、改正消防法による小児救急患者への対応を含む実施基準の策定や、小児救命救急センタ-の整備、小児集中治療室(PICU)の整備等が行われてきたところである。
さらに、日本小児科学会が示している「我が国の小児医療提供体制の構想」及び「中核病院小児科・地域小児科センタ-登録事業」を参考に、小児救急医療のみならず一般の医療も視野に入れながら、小児の医療体制を構築する。
本指針では、小児医療の体制構築に当たり、「第1 小児医療の現状」で小児医療をとりまく状況がどのような医療が行われているのかを概観し、次に、「第2 医療機関とその連携」でどのような医療体制を構築すべきかを示している。都道府県は、これらを踏まえつつ、「第3 構築の具体的な手順」に則して、地域の現状を把握・分析し、また各医療機能を理解した上で、地域の実情に応じて圏域を設定し、その圏域ごとの医療機関とさらにそれらの医療機関間の連携の検討を行い、最終的には都道府県全体で評価まで行えるようにする。


第1 小児医療の現状

1 小児医療をとりまく状況
(1) 小児の疾病構造
1日当たりの全国の小児(0歳から14歳までを指す。以下同じ。)患者数(推計)は、入院で約3.1万人、外来で約70万人となっている1。
① 入院については、喘息(5.7%)をはじめとする呼吸器系の疾患
(21.3%)のほか、「周産期に発生した病態」(19.4%)、「神経系の疾患」(9.6%)、「先天奇形、変形及び染色体異常」(9.6%)が多い1。
② また、外来については、急性上気道感染症(17.2%)をはじめとする呼吸器系の疾患(39%)が圧倒的に多い1。
また、小児医療に関連する業務においては、育児不安や小児の成長発達上の相談、親子の心のケア、予防接種、児童虐待への対応等の保健活動が占める割合が大きい。
なお、小児救急診療については、患者の多くが軽症者であり、また、夕刻から準夜帯(18時から23時まで)にかけて受診者が多くなることが指摘されている。
(2) 死亡の状況
我が国の周産期死亡率(出産1000対)は4.2、乳児死亡率(出生1000対)は2.3、幼児(1歳から4歳まで)の死亡率(人口10万対)は22.1となっている2。
その主な原因は、「先天奇形、変形及び染色体異常」(17.4%)、「不慮の事故」(16.2%)、「悪性新生物」(9.2%)となっている2。
(3) 小児救急の現状
少子化(小児人口は、平成12年の1,847万人から平成22年の1,680万人まで減少している3。)にも関わらず、18歳未満の救急搬送数は増加傾向であったが、近年は平成17年の約51万人から平成22年の約46万人と減少傾向にある4。
また、同搬送における軽症者の割合は約75%となっている4。さらに、小児の入院救急医療機関(第二次救急医療機関)を訪れる患者数のうち、9割以上は軽症であることが指摘されている5。このように、小児救急患者については、その多くが軽症患者であり、かつ、重症患者を扱う医療機関においてさえ軽症患者が多数受診している様子がうかがえる。
※ 小児救急患者
ここでいう救急患者とは、救急車等によって救急搬送される小児患者や、休日・夜間等の通常の診療時間外に医療機関を受診する小児患者等を指す。
小児救急患者の時間帯別の受診状況をみると、平日では夕刻から準夜帯(18時から22時頃まで)にかけて増加傾向にあり、さらに土・日では多くなっている6。このように、小児救急患者は、いわゆる時間外受診が多いことが指摘されている。
このような小児救急における受療行動には、少子化、核家族化、夫婦共働きといった社会情勢や家庭環境の変化に加え、保護者等による専門医指向、病院志向が大きく影響していると指摘されている6。

2 小児医療の提供体制
(1) 医療施設の状況
① 平成14年から平成20年までの間に小児科を標榜している一般病院は13.5%減少(3,359から2,905)、診療所は13%減少(25,862から22,503)している7。
② 小児慢性特定疾患を取り扱う医療機関については各都道府県において指定されている。
③ 平成11年度以降、小児救急医療体制の充実を図るため、病院群輪番制(163地区)や拠点病院(28か所)の整備を推進している。(数値はいずれも平成22年9月現在)
④ 高度な医療を提供する新生児集中治療室(NICU)を有する医療機関数は、平成20年に265施設、小児集中治療室(PICU)を有する医療機関数は、平成20年に22施設となっている7。
(2) 小児医療に係わる医師等の状況
① 我が国の小児科を標榜する病院一施設当たりの、小児人口は約5千人(例えば、英国では約2万5千人)、小児科医数は平均2名余(英国は約20名)と、他の先進諸国に比べ、医療資源が広く薄く配置されている状況が指摘されている8。
② 平成12年から平成22年までの間に小児科医の数は14,156人から15,870人と約1,700人増加している9。また、小児人口1万人当たりの小児科医数でみても、7.7から9.4と増加傾向にある。


第2 医療機関とその連携

1 目指すべき方向
当面、日本小児科学会が示している「我が国の小児医療提供体制の構想」及び「中核病院小児科・地域小児科センタ-登録事業」を参考に、すべての小児救急医療圏(平成22年現在363地域)で常時診療できる体制を確保するとともに、一般の小児医療も視野に入れながら、医療体制を構築していく。
その際、圏域ごとに少なくとも一箇所の小児専門医療を取り扱う病院を確保することを目標に、既存の医療機関相互の連携や各事業の効果的な組合せ等によって、地域における小児医療の連携の構築を目指すこととする。
(1) 子どもの健康を守るために、家族を支援する体制
① 急病時の対応等について健康相談・支援を実施可能な体制
② 慢性疾患児や障害児、心の問題のある児の家族に対する精神的サポ-ト等を実施する体制
③ 家族による救急蘇生法等、不慮の事故や急病への対応が可能な体制
(2) 小児患者に対し、その症状に応じた対応が可能な体制
① 地域において、初期救急も含め一般的な小児医療を実施する体制
② 二次医療圏において、拠点となる病院が、専門医療又は入院を要する小児救急医療を提供する体制
③ 三次医療圏において、高度な専門医療又は重篤な小児患者に対する救命医療を提供する体制
※ 慢性疾患児や障害児、心の問題のある児等に関しては、上記①~③の分類に基づく医療提供体制が必ずしも当てはまらない場合が想定されることから、地域の実情に応じ、適宜、体制の確保を図る。
(3) 地域の小児医療が確保される体制
① 医療資源の集約化・重点化の実施により、小児専門医療を担う病院が確保される体制
② 小児医療に係る医師の確保が著しく困難な地域については、医療の連携の構築を図ることで、全体で対応できる体制
(4) 療養・療育支援が可能な体制
① 小児病棟やNICU、PICU等で療養中の重症心身障害児等が生活の場で療養・療育できるよう、医療、介護及び福祉サ-ビスが相互に連携した支援を実施

2 各医療機能と連携
前記「1 目指すべき方向」を踏まえ、小児の医療体制に求められる医療機能を下記(1)から(4)に示す。
都道府県は、各医療機能の内容(目標、医療機関等に求められる事項等)について、地域の実情に応じて柔軟に設定する。
(1) 健康相談等の支援の機能【相談支援等】
① 目標
・ 子供の急病時の対応等を支援すること
・ 慢性疾患の診療や心の診療が必要な児童及びその家族に対し、地域の医療資源、福祉サ-ビス等について情報を提供すること
・ 不慮の事故等の救急の対応が必要な場合に、救急蘇生法等を実施できること
② 関係者に求められる事項
(家族等周囲にいる者)
・ 必要に応じ電話相談事業等を活用すること
・ 不慮の事故の原因となるリスクを可能な限り取り除くこと
・ 救急蘇生法等の適切な処置を実施すること
(消防機関等)
・ 心肺蘇生法や不慮の事故予防に対する必要な知識を家族等に対し、指導すること
・ 急性期医療を担う医療機関へ速やかに搬送すること
・ 救急医療情報システムを活用し、適切な医療機関へ速やかに搬送すること
(行政機関)
・ 休日・夜間等に子供の急病等に関する相談体制を確保すること(小児救急電話相談事業)
・ 小児の受療行動に基づき、急病等の対応等について啓発を実施すること(小児救急医療啓発事業)
・ 心肺蘇生法や不慮の事故予防に対する必要な知識を、家族等に対し指導する体制を確保すること(自動体外式除細動器普及啓発事業)
・ 慢性疾患の診療や心の診療が必要な児童及びその家族に対し、地域の医療資源福祉サ-ビス等について情報を提供すること
(2) 一般小児医療
地域において、日常的な小児医療を実施する。
(2-1) 一般小児医療(初期小児救急医療を除く。)を担う機能【一般小児医療】
① 目標
・ 地域に必要な一般小児医療を実施すること
・ 生活の場(施設を含む)での療養・療育が必要な小児に対し支援を実施すること
② 医療機関に求められる事項
・ 一般的な小児医療に必要とされる診断・検査・治療を実施すること
・ 軽症の入院診療を実施すること(入院設備を有する場合)
・ 他の医療機関の小児病棟やNICU、PICU等から退院するに当たり、生活の場(施設を含む)での療養・療育が必要な小児に対し支援を実施すること
・ 訪問看護ステ-ション、福祉サ-ビス事業者、行政等との連携により、医療、介護及び福祉サ-ビス(レスパイトを含む。)を調整すること
・ 医療型障害児入所施設等、自宅以外の生活の場を含めた在宅医療を実施すること
・ 家族に対する精神的サポ-ト等の支援を実施すること
・ 慢性疾患の急変時に備え、対応可能な医療機関と連携していること
・ 専門医療を担う地域の病院と、診療情報や治療計画を共有するなどして連携していること
③ 医療機関等の例
・ 小児科を標榜する診療所
・ 一般小児科病院※、地域振興小児科病院※
・ 連携病院(集約化推進通知に規定されるもの)
・ 訪問看護ステ-ション
※ 平成18年6月日本小児科学会理事会中間報告書「小児医療提供体制の改革ビジョン」(以下「改革ビジョン」という。)に規定され、平成23年8月日本小児科学会総会資料「継続できる質の高い小児医療提供体制に向けて」により修正されたもの
(2-2) 初期小児救急医療を担う機能【初期小児救急】
① 目標
・ 初期小児救急を実施すること
② 医療機関に求められる事項
・ 小児初期救急センタ-、休日夜間急患センタ-等において平日昼間や夜間休日における初期小児救急医療を実施すること
・ 緊急手術や入院等を要する場合に備え、対応可能な医療機関と連携していること
・ 地域で小児医療に従事する開業医等が、病院の開放施設(オ-プン制度)や小児初期救急センタ-等、夜間休日の初期小児救急医療に参画すること
③ 医療機関の例
(平日昼間)
・ 小児科を標榜する診療所
・ 一般小児科病院、地域振興小児科病院(改革ビジョンに規定されるもの)
・ 連携病院(集約化推進通知に規定されるもの)
(夜間休日)
・ 在宅当番医制に参加している診療所、休日夜間急患センタ-、小児初期救急センタ-
(3) 地域小児医療センタ-(日本小児科学会の「地域小児科センタ-に相当するもの」)
小児医療圏において中心的に小児医療を実施する。
(3-1) 小児専門医療を担う機能【小児専門医療】
(人的体制、新生児医療等その他の事項については、集約化推進通知の連携強化病院に係る記載も参照。)
① 目標
・ 一般の小児医療を行う医療機関では対応が困難な患者に対する医療を実施すること
・ 小児専門医療を実施すること
② 医療機関に求められる事項
・ 高度の診断・検査・治療や勤務医の専門性に応じた専門医療を行うこと
・ 一般の小児医療を行う機関では対応が困難な患者や常時監視・治療の必要な患者等に対する入院診療を行うこと
・ 小児科を標榜する診療所や一般病院等の地域における医療機関と、小児医療の連携体制を形成することにより、地域で求められる小児医療を全体として実施すること
・ より高度専門的な対応について、高次機能病院と連携していること
・ 療養・療育支援を担う施設との連携や、在宅医療を支援していること
・ 家族に対する精神的サポ-ト等の支援を実施すること
③ 医療機関の例
・ 地域小児科センタ-(NICU型)(改革ビジョンに規定されるもの)
・ 連携強化病院(集約化推進通知に規定されるもの)
(3-2) 入院を要する救急医療を担う機能【入院小児救急】
(人的体制、新生児医療等その他の事項については、集約化推進通知の連携強化病院に係る記載も参照。)
① 目標
・ 入院を要する小児救急医療を24時間体制で実施すること
② 医療機関に求められる事項
・ 小児科医師や看護師などの人員体制を含めて、入院を要する小児救急医療を24時間365日体制で実施可能であること
・ 小児科を標榜する診療所や一般病院等の地域医療機関と連携し、地域で求められる入院を要する小児救急医療を担うこと
・ 高度専門的な対応について、高次機能病院と連携していること
・ 療養・療育支援を担う施設と連携していること
・ 家族に対する精神的サポ-ト等の支援を実施すること
③ 医療機関の例
・ 地域小児科センタ-(救急型)(改革ビジョンに規定されるもの)
・ 連携強化病院(集約化推進通知に規定されるもの)
・ 小児救急医療拠点病院
・ 小児救急医療支援事業により輪番制に参加している病院
(4) 小児中核病院(日本小児科学会の「中核病院小児科」に相当するもの)
三次医療圏において中核的な小児医療を実施する。
(4-1) 高度な小児専門医療を担う機能【高度小児専門医療】
(人的体制、新生児医療等その他の事項については、集約化推進通知の高次機能病院に係る記載も参照。)
① 目標
・ 地域小児医療センタ-では対応が困難な患者に対する高度な専門入院医療を実施すること
・ 当該地域における医療従事者への教育や研究を実施すること
② 医療機関に求められる事項
・ 広域の小児中核病院や地域小児医療センタ-との連携により、高度専門的な診断・検査・治療を実施し、医療人材の育成・交流などを含めて地域医療に貢献すること
・ 療養・療育支援を担う施設と連携していること
・ 家族に対する精神的サポ-ト等の支援を実施すること
③ 医療機関の例
・ 中核病院(改革ビジョンに規定されるもの)
・ 大学病院(本院)
・ 小児専門病院
(4-2) 小児の救命救急医療を担う機能【小児救命救急医療】
(人的体制、新生児医療等その他の事項については、集約化推進通知の高次機能病院に係る記載も参照。)
① 目標
・ 小児の救命救急医療を24時間体制で実施すること
② 医療機関に求められる事項
・ 地域小児医療センタ-からの紹介患者や重症外傷を含めた救急搬送による患者を中心として、重篤な小児患者に対する救急医療を24時間365日体制で実施すること
・ 小児の集中治療を専門的に実行できる診療体制(小児専門施設であれば PICUを運営することが望ましい)を構築することが望ましいこと
・ 療養・療育支援を担う施設と連携していること
・ 家族に対する精神的サポ-ト等の支援を実施すること
③ 医療機関の例
・ 救命救急センタ-
・ 小児救命救急センタ-
・ 小児救急医療拠点病院のうち救命救急医療を提供するもの


第3 構築の具体的な手順

1 現状の把握
都道府県は、小児医療の体制を構築するに当たって、(1)(2)に示す項目を参考に、患者動向、医療資源及び医療連携等について、現状を把握する。
さらに、(3)に示す、医療機能ごとおよびストラクチャ-・プロセス・アウトカムごとに分類された指標例により、数値で客観的に現状を把握する。
なお、(1)~(3)の各項目について、参考として調査名を示しているが、その他必要に応じて調査を追加されたい。
(1) 患者動向に関する情報
・ 小児患者数(住所の別、軽症・重症の別、外来・入院の別、搬送の種類、受診時間帯)(患者調査)
・ 乳児、乳幼児、小児(15才未満)の死亡率(人口動態統計)
・ 小児人口(住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査)
・ 出生率(人口動態統計)
・ 特別児童扶養手当数等(福祉行政報告例等)
(2) 医療資源・連携等に関する情報
・ 小児科標榜病院数とその所在
・ 各病院における診療の実態
外来(一般外来、各種専門外来、検診・育児相談・予防接種等)
入院(一般病床数、NICU病床数、PICU病床数、小児入院医療管理料の算定病床数等)
小児医療に係る医師の数(小児科医等)
・ 小児科標榜診療所数とその所在
・ 時間外の診療対応状況
休日・夜間診療所の運営状況(診療時間、対応疾病、医師人数等)
小児科を標榜する診療所及び病院の初期救急体制への関与状況
休日・夜間の薬局の運営状況(開局時間、薬剤師人数等)
・ 小児救急医療に携わる施設とその位置(衛生主管部局)
・ 救急医療機関の人員(衛生主管部局)
(3) 指標による現状把握
別表10に掲げるような、医療機能ごと及びストラクチャ-・プロセス・アウトカムごとに分類された指標例により、地域の医療提供体制の現状を客観的に把握し、医療計画に記載する。その際、公的統計等により全都道府県で入手可能な指標(必須指標)と、独自調査やデ-タ解析等により入手可能な指標(推奨指標)に留意して、把握すること。

2 医療機能の明確化及び圏域の設定に関する検討
(1) 都道府県は、小児医療体制を構築するに当たって、「第2 医療機関とその連携」を基に、前記「1 現状の把握」で収集した情報を分析し、一般小児医療、地域小児医療センタ-、中核病院といった各種機能を明確にして、圏域を設定する。
(2) 医療機能を明確化するに当たって、地域によっては、医療資源の制約等によりひとつの施設が複数の機能を担うこともあり得る。逆に、圏域内に機能を担う施設が存在しない場合には、圏域の再設定を行うこともあり得る。
(3) 圏域を設定するに当たっては、地域小児医療センタ-を中心とした診療状況を勘案し、従来の二次医療圏にこだわらず地域の医療資源等の実情に応じて弾力的に設定する。
(4) 検討を行う場合は、地域医師会等の医療関係団体、現に小児医療の診療に従事する者、住民・患者、市町村等の各代表が参画する。

3 連携の検討
(1) 都道府県は、小児医療の体制を構築するに当たって、患者の重症度・緊急度に応じて適切に医療が提供されるよう、また、関係機関・施設の信頼関係が醸成されるよう配慮する。
また、医療機関、消防機関、消防防災主管部局、地域医師会等の関係者は、診療情報の共有、連携する施設・医師等専門職種の情報の共有に努める。
(2) 保健所は、「地域保健法第4条第1項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年厚生省告示第374号)の規定に基づき、また、「医療計画の作成及び推進における保健所の役割について」(平成19年7月20日健総発第0720001号健康局総務課長通知)を参考に、医療連携の円滑な実施に向けて、地域医師会等と連携して医療機関相互又は医療機関と消防機関との調整を行うなど、積極的な役割を果たすこと。
(3) 都道府県域の県境地域においては、道路状況や地域住民の受療動向により、県内医療機関と県外医療機関との連携体制を検討する。
その場合、隣接都道府県関係者からなる協議会を設置する等により合意を得る。
(4) 医療計画には、原則として各医療機能を担う医療機関の名称を記載する。
なお、地域によっては、医療資源の制約等によりひとつの医療機関が複数の機能を担うこともある。
さらに、医療機関等の名称については、例えば医療連携体制の中で各医療機能を担う医療機関等が圏域内に著しく多数存在する場合にあっては、地域の実情に応じて記載をすることで差し支えないが、住民に分かりやすい周知に努めるものとする。
(5) 集約化・重点化を実施するための計画との整合性を図る。
① 連携強化病院の体制
② 連携病院の体制
③ 連携強化病院と連携病院の連携体制
④ 地域の診療所・連携病院の参加による休日・夜間初期小児救急医療体制
⑤ 連携強化病院における地域の小児救急医療の支援体制
⑥ 医療機関間における搬送体制
⑦ 高次機能病院の役割

4 課題の抽出
都道府県は、「第2 医療機関とその連携」を踏まえ、「1 現状の把握」で収集した情報や指標により把握した数値から明確となった現状について分析を行い、地域の小児医療体制の課題を抽出し、医療計画に記載する。
その際、現状分析に用いたストラクチャ-、プロセス、アウトカム指標の関連性も考慮し、病期・医療機能による分類も踏まえ、可能な限り医療圏ごとに課題を抽出する。

5 数値目標
都道府県は、良質かつ適切な小児医療を提供する体制について、事後に定量的な比較評価を行えるよう、「4 課題の抽出」で明確にした課題に対して、地域の実情に応じた目標項目やその数値目標、目標達成に要する期間を設定し、医療計画に記載する。
数値目標の設定に当たっては、各指標の全国デ-タ等を参考にするとともに、基本方針第7に掲げる諸計画に定められる目標を勘案するものとする。
なお、達成可能なものだけを目標とするのではなく、真に医療圏の課題を解決するために必要な目標を設定することとする。

6 施策
数値目標の達成には、課題に応じた施策を実施することが重要である。都道府県は、「4 課題の抽出」に対応するよう「5 数値目標」で設定した目標を達成するために行う施策について、医療計画に記載する。

7 評価
計画の実効性を高めるためには、評価を行い、必要に応じて計画の内容を見直すことが重要である。都道府県は、あらかじめ評価を行う体制を整え、医療計画の評価を行う組織や時期を医療計画に記載する。この際、少なくとも施策の進捗状況の評価については、1年ごとに行うことが望ましい。また、数値目標の達成状況、現状把握に用いた指標の状況について、少なくとも5年ごとに調査、分析及び評価を行い、必要があるときは、都道府県はその医療計画を変更することとする。

8 公表
都道府県は、住民に分かりやすい形で医療計画を公表し、医療計画やその進捗状況を周知する必要がある。このため、指標による現状把握、目標項目、数値目標、施策やその進捗状況、評価体制や評価結果を公表する。その際、広く住民に周知を図るよう努めるものとする。


1 厚生労働省「患者調査」(平成20年)
2 厚生労働省「人口動態統計(確定数)」(平成22年)
3 総務省「国勢調査」(平成22年)
4 消防庁「平成23年版 救急・救助の現状」(平成23年)
5 日本医師会「小児救急医療体制のあり方に関する検討委員会報告書」(平成14年)ほか
6 厚生労働科学研究「小児救急医療における患者・家族ニ-ズへの対応策に関する研究」(主任研究者 衛藤義勝)(平成16年度)
7 厚生労働省「医療施設調査」(平成20年)
8 日本小児科学会調べ(平成18年)
9 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」(平成22年)