1-5 管理者の業務遂行方法


[通知] 医療法の一部を改正する法律の一部の施行について
第一 特定機能病院に関する事項

5 管理者の業務遂行方法

(1) 新省令第九条の二〇第一号イ及び同条第二号イに規定する「特定機能病院以外の病院では通常提供することが難しい診療」とは、
① 先進医療(厚生労働大臣が定める評価療養及び選定療養(平成一八年厚生労働省告示第四九五号)第一条第一号に規定するものをいう。以下同じ。)
② 特定疾患治療研究事業(昭和四八年四月一七日衛発第二四二号厚生省公衆衛生局長通知に規定するものをいう。)の対象とされている疾患についての診療
を主に想定したものであること。この場合において、①の先進医療の提供は必須とし、厚生労働大臣の承認を受けた①の先進医療の数が一件の場合には、併せて②の特定疾患治療研究事業に係る診療を年間五〇〇人以上の患者に対して行うものであること。
また、既に特定機能病院に係る承認を受けている病院について、その提供する先進医療が、健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成六年厚生省告示第五四号)に規定する医療技術に採り入れられたことにより、前記の要件に適合しなくなった場合には、おおむね三年以内を目途に、適合するようにすべきものであること。
なお、以上このことは一般に「高度の医療」を①又は②に限定する趣旨ではなく、また、これらの医療の提供機能、開発及び評価機能並びに研修機能を特定機能病院に限定する趣旨ではないこと。

(2) 新省令第九条の二〇第一号ロに規定する「臨床検査及び病理診断を適切に実施する体制を確保すること」とは、病院内に臨床検査及び病理診断を実施する部門を設けることを意味するものであること。なお、臨床検査を実施する部門と病理診断を実施する部門は別々のものである必要はなく、また、その従業者は、業務が適切に実施されていれば、必ずしも専任の者でなくとも差し支えないものであること。

(3) 新省令第九条の二〇第一号ハに掲げる「第九条の二三及び第一一条各号に掲げる体制を確保すること」とは、具体的には以下のものを指すこと。(左記オからクについては、医療法施行規則の一部を改正する省令の一部の施行について(平成一四年八月三〇日医政発第〇八三〇〇〇一号)の該当個所を再掲したものである。)
ア 「専任の医療に係る安全管理を行う者」は、当該病院における医療に係る安全管理を行う部門の業務に関する企画立案及び評価、病院内における医療安全に関する職員の安全管理に関する意識の向上や指導等の業務を行うものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。
(ア) 医師、歯科医師、薬剤師又は看護師のうちのいずれかの資格を有していること。
(イ) 医療安全に関する必要な知識を有していること。
(ウ) 当該病院の医療安全に関する管理を行う部門に所属していること。
(エ) 当該病院の医療に係る安全管理のための委員会の構成員に含まれていること。
(オ) 医療安全対策の推進に関する業務に専ら従事していること。
イ 「専任の院内感染対策を行う者」は、当該病院における院内感染対策を行う部門の業務に関する企画立案及び評価、病院内における職員の院内感染対策に関する意識の向上や指導等の業務を行うものであり、次に該当するものであること。
(ア) 医師、歯科医師、薬剤師又は看護師のうちのいずれかの資格を有していること。
(イ) 院内感染対策に関する必要な知識を有していること。
ウ 「医療に係る安全管理を行う部門」とは、専任の医療に係る安全管理を行う者及びその他必要な職員で構成され、医療に係る安全管理のための委員会で決定された方針に基づき、組織横断的に当該病院内の安全管理を担う部門であって、次に掲げる業務を行うものであること。
(ア) 医療に係る安全管理のための委員会で用いられる資料及び議事録の作成及び保存、その他医療に係る安全管理のための委員会の庶務に関すること。
(イ) 事故等に関する診療録や看護記録等への記載が正確かつ十分になされていることの確認を行うとともに、必要な指導を行うこと。
(ウ) 患者や家族への説明など事故発生時の対応状況について確認を行うとともに、必要な指導を行うこと。
(エ) 事故等の原因究明が適切に実施されていることを確認するとともに、必要な指導を行うこと。
(オ) 医療安全に係る連絡調整に関すること。
(カ) 医療安全対策の推進に関すること。
エ 「患者からの安全管理に係る相談に適切に応じる体制を確保すること」とは、当該病院内に患者相談窓口を常設し、患者等からの苦情、相談に応じられる体制を確保するものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。また、これらの苦情や相談は医療機関の安全対策等の見直しにも活用されるものであること。
(ア) 患者相談窓口の活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示されていること。
(イ) 患者相談窓口の活動に関し、相談に対応する職員、相談後の取扱、相談情報の秘密保護、管理者への報告等に関する規約が整備されていること。
(ウ) 相談により、患者や家族等が不利益を受けないよう適切な配慮がなされていること。
オ 「医療に係る安全管理のための指針」とは、次に掲げる事項を文書化したものであり、また、医療に係る安全管理のための委員会において策定及び変更するものであること。
(ア) 医療機関における安全管理に関する基本的考え方
(イ) 医療に係る安全管理のための委員会その他医療機関内の組織に関する基本的事項
(ウ) 医療に係る安全管理のための職員研修に関する基本方針
(エ) 医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策に関する基本方針
(オ) 医療事故等発生時の対応に関する基本方針
(カ) 患者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
(キ) その他医療安全の推進のために必要な基本方針
カ 「医療に係る安全管理のための委員会」とは、医療機関内の安全管理の体制の確保及び推進のために設けるものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。
(ア) 医療に係る安全管理のための委員会の管理及び運営に関する規程が定められていること。
(イ) 重要な検討内容について、患者への対応状況を含め管理者へ報告すること。
(ウ) 重大な問題が発生した場合は、速やかに発生の原因を分析し、改善策の立案及び実施並びに職員への周知を図ること。
(エ) 医療に係る安全管理のための委員会で立案された改善策の実施状況を必要に応じて調査し、見直しを行うこと。
(オ) 医療に係る安全管理のための委員会は月一回程度開催するとともに、重大な問題が発生した場合は適宜開催すること。
(カ) 各部門の安全管理のための責任者等で構成されること。
キ 「医療に係る安全管理のための職員研修」は、医療に係る安全管理のための基本的考え方及び具体的方策について当該医療機関の職員に周知徹底を行うことで、個々の職員の安全に対する意識、安全に業務を遂行するための技能やチームの一員としての意識の向上等を図るものであること。
本研修は、医療機関全体に共通する安全管理に関する内容について、年二回程度定期的に開催するほか、必要に応じて開催すること。また、研修の実施内容について記録すること。
ク 「医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策」は、医療機関内で発生した事故の安全管理委員会への報告等、あらかじめ定められた手順や事例収集の範囲等に関する規程に従い事例を収集、分析することにより医療機関における問題点を把握して、医療機関の組織としての改善策の企画立案やその実施状況を評価するものであること。また、重大な事故の発生時には、速やかに管理者へ報告すること等を含むものであること。なお、事故の場合にあっての報告は診療録や看護記録等に基づき作成すること。

(4) 医療法施行規則の一部を改正する省令(平成一六年厚生労働省令第一〇二号。以下「平成一六年改正省令」という。)による改正後の医療法施行規則第九条の二〇第二号イに規定する「特定機能病院以外の病院以外では通常提供することが難しい診療に係る技術の研究及び開発を行うこと」とは、当該特定機能病院に所属する医師等の行う研究が、国若しくは地方公共団体又は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成一八年法律第五〇号)による改正前の民法(明治二九年法律第八九号)第三四条の規定に基づき設立された法人若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成一八年法律第四八号)の規定に基づき設立され、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成一八年法律第四九号)第四条の認定を受けた法人から補助金の交付又は委託を受けたものであること及び当該特定機能病院に所属する医師等が発表した論文の数が年間一〇〇件以上であることを意味するものであること。

(5) 新省令第九条の二〇第二号ロに規定する「医療技術の有効性及び安全性を適切に評価すること」とは、医療技術による治療の効果、患者の侵襲の程度等を勘案し、当該技術を実際に用いることの是非等を判定することを意味するものであること。

(6) 平成一六年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の二〇第三号に規定する「高度の医療に関する臨床研修(医師法(昭和二三年法律第二〇一号)第一六条の二第一項及び歯科医師法(昭和二三年法律第二〇二号)第一六条の二第一項の規定によるものを除く。)を適切に行わせること」とは、医師法及び歯科医師法の規定による臨床研修を修了した医師及び歯科医師に対する専門的な研修を実施することを意味するものであり、当該専門的な研修を受ける医師及び歯科医師の数が、年間平均三〇人以上であること。

(7) 平成一六年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の二〇第三号において、高度の医療に関する臨床研修を特定機能病院の管理者の業務として規定していることは、当該病院が医師法及び歯科医師法の規定による臨床研修その他の研修を実施することを妨げる趣旨ではないこと。

(8) 新省令第九条の二〇第四号に規定する「診療並びに病院の管理及び運営に関する諸記録の管理に関する責任者及び担当者」は、業務が適切に実施されていれば、必ずしも専任の者でなくとも差し支えないものであること。

(9) 諸記録の管理方法は、病院の実情に照らし適切なものであれば、必ずしも病院全体で集中管理する方法でなくとも差し支えないものであること。また、分類方法についても、病院の実情に照らし、適切なものであれば差し支えないものであること。

(10) 新省令第九条の二〇第五号に規定する「診療並びに病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧に関する責任者及び担当者」は、業務が適切に実施されていれば、必ずしも専任の者でなくとも差し支えないものであること。

(11) 新省令第九条の二〇第五号に規定する「閲覧の求めに応じる場所」は、閲覧に支障がなければ、必ずしも閲覧専用の場所でなくとも差し支えないものであること。なお、閲覧に供することによって諸記録が散逸することのないよう、十分に留意する必要があるものであること。

(12) 新省令第九条の二〇第六号イに規定する紹介率にいうA、B、C及びDの値は、次のものを指すものであること。
A:初診患者のうち、他の病院又は診療所から紹介状により紹介されたものの数(次の①及び②の場合を含む。)
① 紹介元である他の病院又は診療所の医師からの電話情報により、特定機能病院の医師が紹介状に転記する場合
② 他の病院、診療所等における検診の結果、精密検診を必要とされた患者の精密検診のための受診で、紹介状又は検査票等に、紹介目的、検査結果等についての記載がなされている場合(①と同様、電話情報を特定機能病院の医師が転記する場合を含む。)
B:特定機能病院の医師が、紹介状により他の病院又は診療所に紹介した患者の数(次の①及び②の場合を含む。)
① 当該特定機能病院での診療を終えた患者を、電話情報により他の病院又は診療所に紹介し、紹介した特定機能病院の医師において、紹介目的等を診療録等に記載する場合
② 他の病院又は診療所から紹介され、当該特定機能病院での診療を終えた患者を紹介元である他の病院又は診療所に返書により紹介する場合(①と同様、電話情報による場合を含む。)
C:地方公共団体又は医療機関に所属する救急自動車により搬入された初診患者の数
D:初診患者の総数

(13) 前記(11)において「初診患者」とは、診療報酬点数表において初診時基本診療料若しくは紹介患者初診時基本診療料又は初診料若しくは紹介患者初診料を算定することができる患者及び社会保険診療以外の患者のうちこれに相当する患者をいうものであること。

(14) 前記(11)において、紹介状には、紹介患者の氏名、年齢、性別、傷病名又は紹介目的、紹介元医療機関名、紹介元医師名、その他紹介を行う医師において必要と認める事項を記載しなければならないものであること、なお、紹介状の様式としては、診療報酬点数表において診療情報提供料を算定する場合の所定の文書として定められている様式(様式第14)を用いることが望ましいものであること。

(15) 新省令第九条の二〇第六号ロに規定する紹介率に係る年次計画については、計画期間経過後になお紹介率が三〇%に達していない場合は、三〇%に達するまで、引き続きおおむね五年間に一〇%引き上げる年次計画を作成し、前の年次計画の計画期間終了後速やかに厚生労働大臣に提出しなければならないものであること。その際の作成様式は、様式第7のとおりであること。

(16) 承認当初において紹介率が三〇%以上であった病院が、その後に紹介率が三〇%に満たなくなった場合にあっては、前記(14)に準じ、三〇%に満たなくなった年度の次年度からの年次計画を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならないものであること。

(17) 紹介率に係る年次計画書は、正本一通、副本一通を厚生労働省医政局総務課に送付するものであること。

(18) 仮に、紹介率に係る五年間の年次計画が達成されない場合であっても、紹介率を向上させるために合理的な努力を行ったものと認められる場合には直ちに特定機能病院の承認の取り消しを行うことは想定されていないものであり、その場合には、引き続き三年間を計画期間とする年次計画を作成して厚生労働大臣に提出しなければならないものであること。その際の具体的な取り扱いについては、社会保障審議会の意見を聴いて定めるものであること。

(19) 特定機能病院においては、紹介患者に係る医療を円滑に実施するため、病院内に地域医療の連携推進のための委員会等(病院内の関係者を構成員とすることでも可。)を設けることが望ましいものであること。

(20) 特定機能病院においては、その有する能力に鑑み、救急患者に対して必要な医療を提供する体制が確保されていることが望ましいものであること。





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