3-4 患者等の食事の提供の業務(新省令第九条の十関係)


[通知] 医療法の一部を改正する法律の一部の施行について
第三 業務委託に関する事項

4 患者等の食事の提供の業務(新省令第九条の十関係)

(1) 患者等の食事の提供の業務の範囲及び委託方法に関する事項
ア 業務の範囲
(ア) 患者等給食業務の範囲
新政令第四条の七第三号に規定する食事の提供(以下「患者等給食」という。)の業務は、食材の調達、調理、盛付け、配膳、下膳及び食器の洗浄並びにこれらの業務を行うために必要な構造設備の管理に加えて、食器の手配、食事の運搬等をいうものであること。
(イ) 病院が自ら実施しなければならない業務の範囲
患者等給食業務のうち、病院が自ら行わなければならない業務は、別表のとおりとすること。なお、献立表の作成については、病院が定めた作成基準に基づき、病院又は患者等給食業者のいずれが作成しても差し支えないが、実際に調理作業に従事する者の意見を十分に聴取し、調理作業に無理や支障を来さないよう配慮する必要があること。
イ 委託の方法等
(ア) 院外調理
これまでは病院内の給食施設を使用して調理を行う、いわゆる代行委託のみが認められていたが、今後は病院外の調理加工施設を使用して調理を行う、いわゆる院外調理も認められるものであること。ただし、喫食直前の再加熱については、病院内の給食施設において行うべきものであること。
(イ) 複数業者への委託
患者等給食業務を病院が直接複数の業者に委託することも差し支えないものであること。また、業者は受託した業務のうち、食事の運搬、食器の洗浄等の一部の業務については、新省令第九条の十で定める基準を満たす者に再委託することも差し支えないものであること。
(ウ) 受託業務を行う場所
受託業務を行う場所とは、病院内の給食施設を使用して調理を行う場合にあっては、当該病院の給食施設のことであり、病院外の調理加工施設を使用して調理を行う場合にあっては、当該調理加工施設のことであること。
また、受託業務の内容によっては、業務を行う場所が複数箇所の場合もあり得ること。なお、業務を行う場所が複数箇所の場合には、主たる業務を行う場所に受託責任者を配置すること。
ウ 食品衛生法との関係
病院外の調理加工施設を使用して患者等給食の調理を行う場合には、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)に基づく営業の許可の対象になること。したがって、これらの調理加工施設は食品衛生法等関係法令を遵守しなければならないものであること。
なお、「大規模食中毒対策等について」(平成九年三月二十四日付け衛食第八五号生活衛生局長通知)が通知されたところであるが、病院外の調理加工施設を使用して患者等給食の調理を行う場合については、通知に十分留意し、適切な衛生管理を行うこと。
また、通知で定められた以外にも、必要に応じ重要管理点を定める場合には、HACCP(危害分析重要管理点)の概念に基づく適切な衛生管理を行うこと。
エ 調理方式
病院外の調理加工施設を使用して調理を行う場合には、患者等給食の特殊性に鑑み、その調理加工方式として、クックチル、クックフリーズ、クックサーブ及び真空調理(真空パック)の四方式があるが、これらの調理方法には食味の面からそれぞれに適した食品があり、いずれか一つの調理方式に限定することは好ましいものではないこと。したがって、これらの調理方式を適切に組み合わせて、患者等給食業務を行うことが望ましいこと。
ただし、いずれの調理方式であっても、HACCPの概念に基づく適切な衛生管理が行われている必要があること。
オ 食事の運搬方法
病院外の調理加工施設から病院へ食事を運搬する場合には、患者等給食の特殊性に鑑み、原則として、冷蔵(三℃以下)若しくは冷凍(マイナス一八℃以下)状態を保って運搬すること。
ただし、調理・加工後の食品を、二時間以内に喫食する場合にあっては、六五℃以上を保って運搬しても差し支えないものであること。この場合であっても、食中毒の発生等がないよう、衛生管理に十分配慮を行うこと。
なお、缶詰め等常温での保存が可能な食品については、この限りではないこと。
カ 労働関係法令の遵守
患者等給食業務の委託に際しては、病院、患者等給食業者双方とも、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)等労働関係法令を遵守すること。特に、複数業者への委託や受託した業務の一部を再委託する場合には十分留意すること。
キ 食材
患者等給食において使用される食材については、栄養面及び衛生面に留意して選択されたものであることが当然の前提であるが、食味についての配慮もなされたものであること。

(2) 人員に関する事項
ア 受託責任者
(ア) 受託責任者について
新省令第九条の十第一号に規定する相当の知識とは、次に掲げる事項に関する知識をいうものであること。
① 病院の社会的役割、病院の組織、医療従事者の資格と業務
② 病院の栄養部門の現状と病院内のその他の組織との連携
③ 疾病の診療と患者等の食事の提供の役割及び治療食の必要性
④ 栄養指導の重要性
⑤ 病院における患者等に対するサービスの意義と食事の提供サービスの課題
⑥ 栄養管理と食事の提供の評価
⑦ 食品衛生と労働安全衛生
⑧ HACCPに関する専門的知識
また、相当の経験とは、次に掲げるものをいうものであること。
① 栄養士の資格を有する者にあっては、患者等給食業務に従事した経験
② 調理師の資格を有する者にあっては、患者等給食業務に通算二年以上従事した経験
③ 学校教育法に基づく高等学校卒業以上の学歴を有する者にあっては、患者等給食業務に通算三年以上従事した経験
④ 前各号と同等以上の技能及び学歴を有すると認められること
(イ) 受託責任者の業務
受託責任者は、従事者の人事・労務管理、研修・訓練及び健康管理、業務の遂行管理、施設設備の衛生管理等の業務に責任を負う者であること。また、病院の管理者、担当者等と患者等給食業務の円滑な運営のために随時協議するとともに、必要な帳票を業務を行う場所に備え、開示できるように整えておくこと。
(ウ) 食品衛生責任者との関係
食品衛生責任者の配置が義務付けられている場合には、受託責任者は、これを兼務しているか、あるいは食品衛生責任者と密接に連携することができる者であること。
(エ) 複数の病院における患者等給食業務の兼務
病院外の調理加工施設を使用して調理を行い、複数の病院から業務を受託する場合にあっては、受託責任者を調理加工施設に設置し、同一人が兼務することも差し支えないこと。
イ 指導助言者
「医療法施行規則の一部を改正する省令」(平成八年厚生省令第十三号)による改正後の医療法施行規則(以下「改正後の省令」という。)第九条の十第二号に規定する指導助言者が日常的に指導及び助言を行うことができる体制を整備しておくこと。特に、委託者である病院から食事の内容に関して必要な改善措置を求められた場合に対応することができる体制を整備しておくこと。
ウ 栄養士
受託業務の責任者が栄養士である場合には、改正後の省令第九条の十第三号の規定を満たすものであること。
エ 従事者
改正後の省令第九条の十第四号に規定する必要な知識及び技能とは、食中毒の予防等受託業務の衛生水準を確保するために必要な知識及び技能をいい、調理業務に従事する者は、常勤の調理師であることが望ましいこと。

(3) 施設、設備及び食器に関する事項
ア 施設、設備及び食器の衛生管理
患者等給食に係る施設、設備及び食器については、病院内の給食施設及び病院外の調理加工施設いずれにおいても、HACCPの概念に基づく適切な衛生管理が行われ、衛生状態が常に良好に保たれている必要があること。
イ 必要な給食施設
病院内の給食施設において調理のすべてを行う必要はないが、病院外の調理加工施設を使用して調理を行う場合であっても、加熱等の病院内での調理作業は残ると考えられるので、病院内の給食施設のすべてが不要となることはないと考えられること。
ウ 病院と老人保健施設等とを併設する場合における病院の給食施設
病院と老人保健施設等とを併設する場合(同一敷地内にある場合又は公道を挟んで隣接している場合をいう。)においては、併設施設の給食施設を病院の給食施設として共用することが認められること。
ただし、病院又は老人保健施設等のそれぞれの患者又は入所者等への食事の提供に支障を来すことがないよう十分に配慮されていなければならないこと。また、食事の運搬については、衛生管理に特段の留意が図られていること。
エ 食器の清潔保持
食事を盛り付ける食器は洗浄後に消毒されたものを用いること。また、食器は食事の提供に支障を生じることがないよう必要数を備えていること。なお、食器を運搬する場合には、食器が細菌等に汚染されることがないよう専用の保管庫又は保管容器を用いること。

(4) 運営に関する事項
ア 業務案内書
改正後の省令第九条の十第九号に規定する業務案内書には、次に掲げる事項が記載されていること。また、求めに応じて、常時開示することができるようにすること。
① 受託責任者、食品衛生責任者、栄養士、調理師の氏名、配置場所等
② 適切な時刻に適切な温度の食事を提供することの可否、患者がメニューを選択できる食事を提供することの可否並びにこれらが可能な場合にあっては、その具体的な内容及び方法
③ 衛生管理方法、従事者の研修、指導助言体制、緊急時の対処方法等の業務の管理体制
イ 患者等給食の継続的な提供
患者等給食については、その業務の特殊性にかんがみ、継続的な提供が特に重要であることから、病院及び患者等給食業者は患者等給食の継続的かつ安定的な提供に最大限の努力を行う必要があること。したがって、何らかの事由により患者等給食業者が当該業務を遂行することが困難となった場合に備えて、患者等給食が滞ることがないよう必要な措置を講じておくこと。なお、必要な措置としては、複数の調理加工施設を有する患者等給食業者と業務委託契約を結ぶこと、複数の患者等給食業者と業務委託契約を結ぶこと、あらかじめ代行業者を定めて代行契約を結ぶこと、病院が自ら調理を行うことができる施設及び人員を確保しておくこと等が考えられること。
また、患者等給食業務においては厳に衛生管理を徹底すべきであり、食中毒の発生により、患者等給食業務の遂行が困難になるということはあってはならないものであること。

(5) 従事者の健康管理及び研修に関する事項
ア 従事者の健康管理
改正後の省令第九条の十第十二号に規定する健康管理とは、従事者に対する健康教育の実施によって、従事者の日常的な健康の自己管理を促し、食中毒の発生と感染症の流行を予防することをいうものであること。
イ 従事者の研修
改正後の省令第九条の十第十三号に規定する研修は、患者等給食業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的としたものであり、次に掲げる事項を含むものであること。
① 標準作業書の記載事項
② 患者の秘密の保持
③ 食中毒と感染症の予防に関する基礎知識
④ 従事者の日常的な健康の自己管理





[通知] 医療法の一部を改正する法律の一部の施行について