Ⅰ 医療機関の屋内における無線設備の利用


[通知] 不要電波問題対策協議会の医用電気機器作業部会による「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」について
医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針

Ⅰ 医療機関の屋内における無線設備の利用


一 携帯電話端末の使用
これまでに収集した国内の実験データ、海外での文献等を検討した結果、医療機関の屋内においては、携帯電話端末(注一)から発射される電波により、医用電気機器が誤動作する可能性があるため、次のとおり取り扱うことが望ましい。

(一) 手術室、集中治療室(ICU)及び冠状動脈疾患監視病室(CCU)等
携帯電話端末を持ち込まないこと。やむを得ず持ち込む場合は電源を切ること。
また、これらの部屋の周囲(隣接する上下階及び左右の部屋、廊下等)においても、携帯電話端末の電源を切ること。
〔理由〕 ①手術室、集中治療室、冠状動脈疾患監視病室等においては、人命に直接関わる医用電気機器が多数設備されているため。②携帯電話端末は電源を入れた状態では、通話中以外でも自動的に電波を発射するため。③携帯電話端末から発射される電波は、床、壁等を透過する可能性があるため。④医用電気機器を装着した患者が施設内部(隣接する部屋、廊下等)を移動する(又は移動している)可能性があるため。
(注一) 本項でいう携帯電話端末は、①八〇〇メガヘルツ帯アナログ携帯機(送信出力〇・六ワット以下)、②八〇〇メガヘルツ帯デジタル携帯機(送信出力〇・八ワット以下:バースト出力)、③一・五ギガヘルツ(一五〇〇メガヘルツ)帯デジタル携帯機(送信出力〇・八ワット以下:バースト出力)、④八〇〇メガヘルツ帯ショルダーホン(肩掛け型携帯電話端末:送信出力二~五ワット以下)のものをいう。

(二) 検査室、診察室、病室及び処置室等
(透析室、新生児室を含む。)
携帯電話端末の電源を切ること。(注二)
また、検査室、診察室、病室及び処置室等の周囲(隣接する上下階及び左右の部屋、廊下等)においても、携帯電話端末の電源を切ること。
〔理由〕 ①検査室、診察室、病室及び処置室等では、医用電気機器が多数設備されている可能性が高く、また、医用電気機器を装着した患者が施設内部(隣接する部屋、廊下等)を移動する(又は移動している)可能性があるため。②携帯電話端末は電源を入れた状態では、通話中以外でも自動的に電波を発射するため。③携帯電話端末から発射される電波は、床、壁等を透過する可能性があるため。
(注二) (三)の(注三)に基づいて、各医療機関が独自に使用者や使用区域を限定して携帯電話が使用できる区域を設定することを妨げるものではない。

(三) その他の区域
待合室など医療機関側が携帯電話端末の使用を特に認めた区域でのみ携帯電話を使用すること。(注三)
ただし、病院側が使用を認めた区域においても、緊急時などでは、やむを得ず医用電気機器を使用する可能性があるため、付近で医用電気機器が使用されている場合には、携帯電話端末の電源を切ること。
〔理由〕 携帯電話端末は電源を入れた状態では、通話中以外でも自動的に電波を発射するため。
(注三) 医療機関は、携帯電話端末の使用を認める区域を設定する場合には、当該区域及びその周囲(隣接する上下階及び左右の部屋、廊下等)において医用電気機器を使用しないことを確認すること。


二 小型無線機(アマチュア無線機、パーソナル無線機及びトランシーバ(特定小電力無線局(注四)のものを除く)等)の使用
これまでに収集した国内の実験データ等を検討した結果、小型無線機は携帯電話端末と比較して医用電気機器に影響を与える可能性が高いため、医療機関の屋内等及び医用電気機器の周辺には、緊急時・災害時を除き持ち込まないこと。
(注四) 特定小電力無線局については、四項を参照のこと。


三 PHS(パーソナル・ハンディホン・システム)の使用
これまでに収集した国内の実験データ等を検討した結果、医療機関の屋内に設置されたPHS基地局等から発射される電波により医用電気機器が誤動作する可能性があるため、医療機関の屋内で設置・使用する場合、医療機関は次の注意事項を遵守することが望ましい。

(一) PHS基地局
医療機関の屋内に設置されるPHS基地局は、送信バースト出力一六〇ミリワット(平均出力二〇ミリワット)以下のものに限ること。
基地局を設置する医療機関は、電波による医用電気機器への影響を医用電気機器製造業者、電気通信事業者等の関係者に確認し、医用電気機器に影響を及ぼすことがないよう管理区域を設けるなどの対策を講じた上で、基地局を設置すること。

(二) PHS端末(デジタルコードレス電話(親機・子機)を含む‥送信バースト出力八〇ミリワット(平均出力一〇ミリワット)以下のものをいう。)
ア 使用可能なPHS端末の識別
医療機関内で使用するPHS端末は、携帯電話端末、ハンディタイプのアマチュア無線機、アナログコードレス電話等と容易に識別できるように管理すること。
(例一‥PHS端末を医療機関内で使用する場合には、医療機関の許可を受けなければならないこととする。)
(例二‥医療機関内で使用するPHS端末には、識別用ステッカーを貼付することとする。)
〔理由〕 PHS端末は、携帯電話端末、ハンディタイプのアマチュア無線機、アナログコードレス電話等と外見上容易に区別がつきにくく、外来患者等に対して、携帯電話端末等を医療機関内で自由に使用できる、との誤解を与える可能性があるため。
イ 識別されたPHS端末の取扱い
PHS端末から発射される電波(出力は携帯電話端末の一〇分の一以下)による医用電気機器への影響は携帯電話端末と比較して小さいものの、PHS端末を医用電気機器へ近づけた場合に、医用電気機器がノイズ混入、誤動作等の影響を受けることがあるため、アで識別されたPHS端末を使用する場合、医用電気機器にPHS端末を近づけないこと。
なお、手術室、集中治療室(ICU)及び冠状動脈疾患監視病室(CCU)等においては、人命に直接関わる医用電気機器が多数設備されているため、安全管理上、PHS端末の電源を切ること。
ウ 外部から持ち込むPHS端末の取扱い
患者等が外部から持ち込むPHS端末について、前記ア及びイのような管理ができない場合には、携帯電話端末と同様に取り扱うこと。


四 構内ページングシステム(注五)の基地局、無線LAN及びコードレス電話(アナログ方式)及び特定小電力無線局(注六)
構内ページングシステム基地局、無線LAN、コードレス電話及び特定小電力無線局(以下「小電力無線局」という。)から発射される電波による医用電気機器への影響は携帯電話端末と比較して小さいものの、これらの小電力無線局を医用電気機器の間近まで近づけた場合に、ノイズ混入、誤動作等の影響を受けることがあるため、医用電気機器に小電力無線局を近づけないよう注意することが望ましい。
(注五) 本項でいう構内ページングシステムは、四〇〇メガヘルツ帯の電波を使用する医療機関等が設置した自営の無線呼出(いわゆる「ポケットベル」)であり、「構内無線局」及び「特定小電力無線局」に該当するものである。
(注六) 無線局免許を要しない空中線電力一〇ミリワット以下の無線局(電波法令に合致し、郵政大臣により告示された用途及び周波数等の条件に適合することが必要)であり、医療用テレメータ、テレメータ・テレコントロール、データ伝送、無線電話、無線呼出、ラジオマイク及び移動体識別を行うものなどが該当する。
なお、医療用テレメータのうち、一般的に利用されている一ミリワット程度のものは殆ど影響はない。