別紙1 たんの吸引、経管栄養及び導尿の標準的手順と、教員が行うことが許容される行為の標準的な範囲


[通知] 盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の取扱いについて(協力依頼)

別紙1 たんの吸引、経管栄養及び導尿の標準的手順と、教員が行うことが許容される行為の標準的な範囲

たんの吸引、経管栄養及び導尿について、文部科学省のモデル事業等における実績と現在の医学的知見を踏まえると、看護師が当該盲・聾・養護学校に配置されていることを前提に、所要の研修を受けた教員が行うことが許容される行為の標準的な範囲は、それぞれ以下の通りである。しかし、いずれの行為にあっても、その処置を行うことが適切かどうかを医療関係者が判断し、なおかつ、具体的手順については最新の医学的知見と、当該児童生徒等の個別的状況を踏まえた医療関係者の指導・指示に従うことが必要であり、緊急時を除いては、教員が行う行為の範囲は医師の指示の範囲を超えてはならない。


1 たんの吸引
(1) 標準的な手順
① 深く入りすぎないようにあらかじめチューブを挿入する長さを決めておく。
② 適切な吸引圧で、吸引チューブを不潔にしないように、吸引する。
③ 咽頭にある痰を取り除くには、鼻腔から吸引チューブを挿入して吸引した方が痰を取り除きやすい場合もある。
④ その場合、鼻腔粘膜などを刺激して出血しないようにチューブを入れる方向等に注意しながら挿入する。
(2) 教員が行うことが許容される標準的な範囲と看護師の役割
① 咽頭より手前の範囲で吸引チューブを口から入れて、口腔の中まで上がってきた痰や、たまっている唾液を吸引することについては、研修を受けた教員が手順を守って行えば危険性は低く、教員が行っても差し支えないものと考えられる。
② 鼻からの吸引には、鼻腔粘膜やアデノイドを刺激しての出血が、まれではあるが生じうる。また、鼻や口からの、咽頭の奥までの吸引を行えば、敏感なケースでは嘔吐・咳込み等の危険性もある。したがって、鼻からの吸引や、口から咽頭の奥までの吸引は、「一般論として安全である」とは言い難い。しかし、鼻からの吸引は、児童生徒等の態様に応じ、吸引チューブを入れる方向を適切にする、左右どちらかのチューブが入りやすい鼻からチューブを入れる、吸引チューブを入れる長さをその児童生徒等についての規定の長さにしておく、などの手順を守ることにより、個別的には安全に実施可能である場合が多い。以上の点を勘案すると、教員は、咽頭の手前までの吸引を行うに留めることが適当であり、咽頭より奥の気道のたんの吸引は、看護師が担当することが適当である。


2 経管栄養(胃ろう・腸ろうを含む)
(1) 標準的な手順
① 鼻からの経管栄養の場合には、既に留置されている栄養チューブが胃に挿入されているか注射器で空気を入れ、胃に空気が入る音を確認する。
② 胃ろう・腸ろうによる経管栄養の場合には、び爛や肉芽など胃ろう・腸ろうの状態に問題がないことの確認を行う。
③ 胃・腸の内容物をチューブから注射器でひいて、性状と量を確認、胃や腸の状態を確認し、注入内容と量を予定通りとするかどうかを判断する。
④ あらかじめ決められた注入速度を設定する。
⑤ 楽な体位を保持できるように姿勢の介助や見守りを行う。
⑥ 注入終了後、微温湯を注入し、チューブ内の栄養を流し込む。
(2) 教員が行うことが許容される標準的な範囲と看護師の役割
① 鼻からの経管栄養の場合、栄養チューブが正確に胃の中に挿入されていることの確認は、判断を誤れば重大な事故につながる危険性があり、看護師が行うことが適当である。
② 胃ろう・腸ろうによる経管栄養は、鼻からの経管栄養に比べて相対的に安全性が高いと考えられるが、胃ろう・腸ろうの状態に問題のないことの確認は看護師が行うことが必要である。
③ 経管栄養開始時における胃腸の調子の確認は、看護師が行うことが望ましいが、開始後の対応は多くの場合は教員によっても可能であり、看護師の指示の下で教員が行うことは許容されるものと考えられる。


3 導尿
(1) 標準的な手順
① 全手順を通じ、身体の露出を最小限とし、プライバシーの保護に努める。
② 尿道口を消毒薬で清拭消毒する。
③ カテーテルが不潔にならないように、尿道口にカテーテルを挿入する。
④ カテーテルの挿入を行うため、そのカテーテルや尿器、姿勢の保持等の補助を行う。
⑤ 下腹部を圧迫し、尿の排出を促す。
⑥ 尿の流出が無くなってから、カテーテルを抜く。
(2) 教員が行うことが許容される標準的な範囲と看護師の役割
○ 尿道口の清拭消毒やカテーテルの挿入を本人が自ら行うことができない場合には、看護師が行う。
○ 本人又は看護師がカテーテルの挿入を行う場合には、尿器や姿勢の保持等の補助を行うことには危険性はなく、教員が行っても差し支えないものと考えられる。