05 臨床研修施設の指定の基準


[通知] 歯科医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について
第2 省令の内容及び具体的な運用基準

5 臨床研修施設の指定の基準

(1) 単独型臨床研修施設の指定の基準
厚生労働大臣は、単独型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院又は診療所が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、単独型臨床研修施設の指定をしてはならないこと。
ア 省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとった研修プログラムを有していること。
(ア) 研修プログラムには、次に掲げる事項が定められていること。
① 当該研修プログラムの特色
② 臨床研修の目標
「臨床研修の目標」は、「歯科医師臨床研修の到達目標」(別添)を参考にして、臨床研修施設が当該研修プログラムにおいて研修歯科医の到達すべき目標として作成するものであり、「歯科医師臨床研修の到達目標」を達成できる内容であること。
③ プログラム責任者の氏名
④ 臨床研修を行う分野及び臨床研修施設又は研修協力施設ごとの研修期間
「臨床研修を行う分野」とは、当該研修プログラムにおいて研修科医の到達すべき目標として示される項目をいうものであること。
⑤ 研修歯科医の指導体制
⑥ 研修歯科医の募集定員並びに募集及び採用の方法
⑦ 研修歯科医の処遇に関する事項
次に掲げる事項をいうものであること。
(i) 常勤又は非常勤の別
(ii) 研修手当、勤務時間及び休暇に関する事項
(iii) 時間外勤務及び当直に関する事項
(iv) 研修歯科医のための宿舎及び病院内の室の有無
(v) 社会保険・労働保険(公的医療保険、公的年金保険、労働者災害補償保険、雇用保険)に関する事項
(vi) 健康管理に関する事項
(vii) 歯科医師賠償責任保険に関する事項
(viii) 外部の研修活動に関する事項(学会、研究会等への参加の可否及び費用負担の有無)
(イ) 研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合には、研修協力施設の種別及び名称、研修協力施設が行う研修の内容及び期間並びに研修実施責任者及び研修歯科医の指導を行う者の氏名が研修プログラムに明示されていること。
(ウ) 研修プログラムに定められた臨床研修を行う分野及び臨床研修施設又は研修協力施設ごとの研修期間が次に掲げる事項を満たすものであること。
① 研修期間は、原則として合計1年とすること。
② 研修歯科医が積極的に研修プログラムを選択し、臨床研修に取り組むことができるよう、地域や施設の特色をいかし、更に臨床研修を充実させるために活用すること。
③ 地域保健・医療については、病院、診療所、へき地・離島診療所、保健所、介護老人保健施設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、各種検診・健診の実施施設等を適宜選択して研修を行うこと。
④ 研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合には、原則として、研修協力施設における研修期間を合計1月以内とすること。
イ 常に勤務する歯科医師が3人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。
なお、「常に勤務する歯科医師」とは、非常勤歯科医師も含め当該施設で定めた歯科医師の勤務時間のすべてを勤務する歯科医師をいうこと。
ウ 医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の2第1項第2号に掲げる歯科又は歯科口腔外科を標榜していること。
エ 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。
オ 臨床研修を行うために必要な症例があること。ただし、共同して臨床研修を行う研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院又は診療所と研修協力施設の症例とを合わせて、必要な症例があること。
「臨床研修を行うために必要な症例があること」とは、「臨床研修の到達目標」を達成するために必要な症例が確保されていることをいうものであること。
カ 入院症例の研修が実施できること。
なお、病床を有さない診療所においては、入院症例の研修体制が確保されていること。
キ 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。
「臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること」とは、臨床研修の実施に関し必要な歯科主要設備(例:歯科診療台、歯科用エックス線装置、パノラマエックス線装置、オートクレーブ、超音波歯石除去器、生体モニター、口腔内画像処理システム、吸入鎮静装置等)のほか、臨床研修に必要な図書又は雑誌を有しており、また、原則として、インターネットが利用できる環境(Medline等の文献データベース、教育用コンテンツ等が利用できる環境)が整備されていることをいうものであること。さらに、次に掲げる施設及び設備を備えていることが望ましいこと。
(ア) 研修歯科医のための歯科診療台
(イ) 研修歯科医のための宿舎及び病院又は診療所内の室
(ウ) 医学・歯学教育用シミュレーター(ファントム、切開及び縫合、一次救命処置(Basic Life Support:BLS)、心音又は呼吸音の聴診等の訓練用機材等)、医学・歯学教育用ビデオ等の機材
ク 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。
「患者の病歴に関する情報を適切に管理していること」とは、病歴管理者が選任されており、診療に関する諸記録(診療録、病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、紹介状、退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約等)の管理が適正になされていることをいうものであること。
ケ 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
「医療に関する安全管理のための体制を確保していること」とは、医療法施行規則第1条の11第1項及び第2項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を満たすことをいうものであること。
(ア) 医療に係る安全管理を行う者(以下「安全管理者」という。)を配置すること。
安全管理者は、当該病院又は診療所における医療に係る安全管理を行う部門(以下「安全管理部門」という。)の業務に関する企画立案及び評価、当該病院又は診療所内における医療安全に関する職員の安全管理に関する意識の向上や指導等の業務を行うものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。
① 医師、歯科医師、薬剤師、看護師又は歯科衛生士のうちのいずれかの資格を有していること。
② 医療安全に関する必要な知識を有していること。
③ 病院においては、当該病院の安全管理部門に所属していること。
④ 当該病院又は診療所の医療に係る安全管理のための委員会(以下「安全管理委員会」という。)の構成員に含まれていること。
(イ) 病院においては、安全管理部門を設置すること。
安全管理部門とは、安全管理者及びその他必要な職員で構成され、安全管理委員会で決定された方針に基づき、組織横断的に当該病院内の安全管理を担う部門であって、次に掲げる業務を行うものであること。
① 安全管理委員会で用いられる資料及び議事録の作成及び保存、その他安全管理委員会の庶務に関すること。
② 事故等に関する診療録や看護記録等への記載が正確かつ十分になされていることの確認を行うとともに、必要な指導を行うこと。
③ 患者や家族への説明など事故発生時の対応状況について確認を行うとともに、必要な指導を行うこと。
④ 事故等の原因究明が適切に実施されていることを確認するとともに、必要な指導を行うこと。
⑤ 医療安全に係る連絡調整に関すること。
⑥ 医療安全対策の推進に関すること。
(ウ) 患者からの相談に適切に応じる体制を確保すること。
「患者からの相談に適切に応じる体制を確保すること」とは、病院又は診療所においては、当該病院又は診療所内に患者相談窓口を常設し、患者等からの苦情や相談に応じられる体制を確保するものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。また、これらの苦情や相談は当該病院又は診療所の安全対策等の見直しにも活用されるものであること。
① 患者相談窓口の活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示されていること。
② 患者相談窓口の活動に関し、相談に対応する職員、相談後の取扱い、相談情報の秘密保護、管理者への報告等に関する規約が整備されていること。
③ 患者や家族等が相談を行うことにより不利益を受けないよう、適切な配慮がなされていること。
なお、診療所においては、意見箱等の患者からの意見を適切に収集する体制をもって代えてよいこと。この場合も上記①~③に準ずる体制を確保すること。
コ 研修管理委員会を設置していること。
研修管理委員会は、6(1)を満たすものであること。
サ プログラム責任者を適切に配置していること。
「プログラム責任者を適切に配置していること」とは、6(3)を満たしたプログラム責任者が、研修プログラムごとに配置されていることをいうものであること。ただし、20人以上の研修歯科医が一つの研修プログラムに基づいて臨床研修を受ける場合には、原則として、プログラム責任者とともに、副プログラム責任者を配置し、プログラム責任者及び副プログラム責任者の受け持つ研修歯科医の数が1人当たり20人を超えないようにすること。
シ 適切な指導体制を有していること。ただし、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院又は診療所と研修協力施設とを合わせて、その指導体制が適切なものであること。
(ア) 「適切な指導体制を有していること」とは、6(4)アを満たした指導歯科医が、原則として臨床研修を行う各分野に配置されており、個々の指導歯科医が、勤務体制上指導時間を十分に確保できることをいうものであること。また、指導歯科医は研修歯科医に対する指導に関する責任者又は管理者の立場にあるものであり、指導歯科医が研修歯科医を直接指導することだけでなく、指導歯科医の指導監督の下、上級医(研修歯科医よりも臨床経験の長い歯科医師をいう。以下同じ)が研修歯科医を直接指導すること(いわゆる「屋根瓦方式」)も想定していること。また、指導歯科医が配置されていない研修を行う分野についても、適切な指導力を有している者が研修歯科医の指導に当たること。
(イ) 休日・夜間の当直における指導体制については、電話等により指導歯科医又は上級医に相談できる体制が確保されるとともに、研修歯科医1人で対応できない症例が想定される場合には、指導歯科医又は上級医が直ちに対応できるような体制(オンコール体制)が確保されていること。また、休日・夜間の当直を研修歯科医が行う場合については、原則として指導歯科医又は上級医とともに、2人以上で行うこと。
(ウ) 診療補助に従事する歯科衛生士又は看護師(准看護師を含む。以下「歯科衛生士等」という。)が適当数(おおむね常に勤務する歯科医師と同数)確保されていること。
なお、歯科衛生士等の数の算定に当たっては、非常勤の者は、当該施設の定めた歯科衛生士等の勤務時間により常勤換算し、算入すること。
(エ) 歯科保健指導・予防処置を行う歯科衛生士が適当数確保されていること。
(オ) 研修歯科医手帳を作成し、研修歯科医が当該手帳に研修内容を記入するよう指導すること。また、研修歯科医が担当した患者の病歴や手術の要約を作成するよう指導すること。
ス 受け入れる研修歯科医の数が、臨床研修を行うために適切であること。
(ア) 受け入れる研修歯科医の数は、基本的な診療能力を習得するのに必要な症例を十分確保できる適当な人数であること。
(イ) 同時に受入れる研修歯科医数が、指導歯科医数の2倍を超えないこと。
(ウ) 原則として、研修プログラムごとに研修歯科医を毎年継続して受け入れることができる体制であること。
セ 研修歯科医の募集及び採用の方法が臨床研修の実施のために適切なものであること。また、「研修歯科医の募集及び採用の方法が臨床研修の実施のために適切なものであること」とは、原則として、公募による採用が行われることをいうものであること。
ソ 研修歯科医に対する適切な処遇を確保していること。ただし、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院及び研修協力施設のそれぞれにおいて、研修歯科医に対する適切な処遇が確保されていること。
タ 病床を有さない診療所においては、臨床研修施設群の協力型臨床研修施設又は従前の複合研修方式の従たる施設として指定を受けており、原則として2年以上連続して臨床研修の実績があること。

(2) 管理型臨床研修施設の指定の基準
厚生労働大臣は、管理型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院又は診療所が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、管理型臨床研修施設の指定をしてはならないこと。
なお、アからツまでの各項目については、以下に特に定めるもののほか、(1)の各項目において示した内容に準じること。
ア 省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとった研修プログラムを有していること。
(ア) 原則として、連続した3月以上の研修を管理型臨床研修施設で行うこと。ただし、3月を超える期間については、1月を単位として、連続しなくてもよいこと。
(イ) 協力型臨床研修施設の名称、協力型臨床研修施設が行う研修の内容及び期間並びに研修実施責任者及び指導歯科医の氏名が研修プログラムに明示されていること。
イ 常に勤務する歯科医師が2人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。
ウ 医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の2第1項第2号に掲げる歯科又は歯科口腔外科を標榜していること。
エ 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。
オ 当該病院又は診療所と協力型臨床研修施設の症例とを合わせて、臨床研修を行うために必要な症例があり、かつ必要な分野の研修が可能であること。ただし、共同して臨床研修を行う研修協力施設が医療機関である場合にあっては、臨床研修施設群を構成する臨床研修施設と研修協力施設の症例とを合わせて、必要な症例があること。
カ 入院症例の研修が実施できること。
キ 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。ただし、共同して臨床研修を行う研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院又は診療所及び研修協力施設が、それぞれの担当する臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。
ク 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。
ケ 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
コ 研修管理委員会を設置していること。
なお、研修管理委員会は、6(1)を満たすものであること。
サ 当該病院又は診療所において、プログラム責任者を適切に配置していること。
シ 適切な指導体制を有していること。ただし、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、臨床研修施設群における指導体制が適切なものであること。
ス 受け入れる研修歯科医の数が、臨床研修を行うために適切であること。
受け入れる研修歯科医の数は、臨床研修施設群を構成する臨床研修施設ごとに適切な数である必要があること。
セ 研修歯科医の募集及び採用の方法が臨床研修の実施のために適切なものであること。
ソ 研修歯科医に対する適切な処遇を確保していること。ただし、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院又は診療所及び研修協力施設のそれぞれにおいて、研修歯科医に対する適切な処遇が確保されていること。
タ 病床を有さない診療所においては、臨床研修施設群の協力型臨床研修施設又は従前の複合研修方式の従たる施設として指定を受けており、原則として2年以上連続して臨床研修の実績があること。
チ 協力型臨床研修施設との間で緊密な連携体制を確保していること。また、地域医療の研修を幅広く確保する観点から、原則として、臨床研修施設群の中に研修の実施に必要と考えられる相当数の民間医療機関を含めること。
「緊密な連携体制」とは、歯科医師の往来又は患者の紹介が組織的に行われている等、診療及び臨床研修について機能的な連携が具体的に行われている状態をいうものであること。
ツ 協力型臨床研修施設として共同して臨床研修を行う病院又は診療所が、(3)の協力型臨床研修施設の指定の基準に適合していること。

(3) 協力型臨床研修施設の指定の基準
厚生労働大臣は、協力型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院又は診療所が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、協力型臨床研修施設の指定をしてはならないこと。
なお、アからシまでの各項目については、以下に特に定めるもののほか、(1)の各項目において示した内容に準じること。
ア 省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとった研修プログラムを有していること。なお、各協力型臨床研修施設において、連続した3月以上の研修を行うこと。
イ 常に勤務する歯科医師が2人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。
ウ 医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の2第1項第2号に掲げる歯科又は歯科口腔外科を標榜していること。
エ 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。
オ 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。
カ 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。
キ 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
「医療に関する安全管理のための体制を確保していること」とは、特定機能病院並びに医師臨床研修病院を除く病院又は診療所において、(1)ケの(ア)の事項を満たし、(イ)及び(ウ)の事項については体制整備に努めることをいう。
なお、当該病院又は診療所内に患者からの相談に適切に応じる体制が確保されない場合にあっては、管理型臨床研修施設等に患者相談窓口を確保し、その活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示すること。
ク 適切な指導体制を有していること。
当該施設における臨床研修の実施を管理する研修実施責任者を配置していること。
ケ 受け入れる研修歯科医の数が、臨床研修を行うために適切であること。
コ 研修歯科医の募集及び採用の方法が臨床研修の実施のために適切なものであること。
サ 研修歯科医に対する適切な処遇を確保していること。
シ 管理型臨床研修施設として共同して臨床研修を行う病院又は診療所が、(2)の管理型臨床研修施設の指定の基準に適合していること。

(4) 厚生労働大臣は、臨床研修施設の指定の申請があった場合において、当該病院又は診療所が次に掲げる事項のいずれかに該当するときは、臨床研修施設の指定をしてはならないこと。
ア 14(1)により臨床研修施設の指定を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過していないこと。
イ その開設者又は管理者に医事に関する犯罪又は不正の行為があり、臨床研修を行うことが適当でないと認められること。

(5) (1)から(3)までの臨床研修施設の指定の基準については、臨床研修施設において年間を通じて常に遵守されていなければならないこと。