第3 病院等における医療関連業務に派遣労働者を受け入れる際の留意点


[通知] 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について〔医療法〕

第3 病院等における医療関連業務に派遣労働者を受け入れる際の留意点

今般の改正において、産前産後休業、育児休業又は介護休業中の医療関係労働者の業務に派遣労働者を受け入れること及びへき地にある病院等において行われる医業について医師を派遣労働者として受け入れることを認めることとしたところであるが、労働者派遣により労働者を確保する場合には、事前に派遣労働者を特定することができないこと等労働者派遣制度の特性を十分に踏まえるとともに、医療関連業務の適正実施の観点から、以下の点に留意の上、適切に対応する必要があること。

(1) 派遣元事業主の選定に当たっての留意事項
労働者派遣制度においては、派遣元事業主及び派遣先においてそれぞれ責任者を選任し、派遣労働者からの苦情の処理等の業務に当たらせることとしているところであるが、医療関連業務の専門性等にかんがみると、医療資格者の派遣を行う派遣元事業主は、医療資格者である派遣労働者からの相談・苦情等に適切に対応し得る体制(専門的なスタッフの配置等)を有していることが望ましいものであり、派遣先である病院等は、こうした派遣元事業主を選定することが望ましいこと。
また、労働・社会保険への加入や適切な休暇の付与等の雇用管理が適正になされていることに加え、必要な教育訓練を適切に実施している等の適切な派遣元事業主を選定することが重要であること。
なお、へき地にある病院等が医業について医師を派遣労働者として受け入れる場合には、第4に示した事前研修を受けた医師を派遣するよう派遣元事業主に対し求め、当該研修を受けた医師であることの確認を行うこと。

(2) 業務内容の把握と派遣元事業主に対する適切な説明
労働者派遣契約を締結するに当たっては、派遣労働者が従事する業務の内容を把握し、当該業務を行うために求められる知識、技術又は経験等について、派遣元事業主に対して事前に十分説明し、派遣元事業主がそのニーズに応じた労働者の選定ができるよう努めること。
したがって、医療関係労働者について派遣を受ける場合には、以下に例示するような条件を付けることは可能であること。
(例) 勤務年数、専門としている診療科、へき地における診療経験

(3) 労働者派遣契約における必要な条件の設定
労働者派遣契約を締結する際には、派遣元事業主の都合により頻繁に派遣労働者が変更されることのないよう、派遣を受ける病院等が希望する場合、①派遣労働者は、当該病院等における就業開始後に、就業の継続を拒否する自由を妨げられないこと、②派遣労働者の年次有給休暇、育児休業等の取得等の派遣労働者の権利(派遣元事業主と派遣労働者との雇用契約上の権利を含む。)を害することのないことを明らかにした上で、派遣元事業主が選定した派遣労働者を継続的に派遣する趣旨の規定を労働者派遣契約に盛り込むなど、派遣労働者の交替について事前に契約事項として定めておくことは可能であること。

(4) 派遣労働者受入後の対応
派遣労働者を受け入れた場合には、当該派遣労働者と当該病院等において直接雇用している医師・看護師等の医療職やその他の職員との相互の能力把握や意思疎通が十分になされるよう、必要な措置を講じるよう努めること。
また、派遣労働者からの苦情や相談に対応し得る体制を派遣先責任者の活用等により整えておくよう努めること。

(5) 派遣労働者である医療関係労働者に対する教育訓練等
労働者派遣制度においては、派遣元事業主が派遣労働者の教育訓練の機会の確保に努めること等とされているほか、派遣先においても、派遣労働者の教育訓練・能力開発について可能な限り協力し、必要に応じて教育訓練に係る便宜を図るよう努めなければならないこととされている。
派遣先である病院等は、医療が生命・健康に関わるものであることを十分に踏まえ、派遣労働者に対する教育訓練の実施等に積極的に協力するほか、派遣労働者を含めた医療従事者の資質の確保・向上に努めること。

(6) 派遣労働者である医療資格者の適正な就業条件の確保等
労働者派遣制度においては、派遣先に対して、派遣先責任者の選任等の一定の責務が課せられているほか、労働時間の管理、労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等の労働基準法、労働安全衛生法等に基づく事業主としての責務の一部が課せられている。
また、派遣先である病院等は派遣労働者を受け入れるに当たって、社会保険・労働保険への加入の有無を確認し、派遣労働者が社会保険・労働保険に加入していない場合には派遣元事業主に対して、その理由を明らかにするよう求めること。
その際、加入していない理由が適正でないと考えられる場合には、派遣元事業主に対し、社会保険・労働保険に加入させてから派遣するよう求めること。
派遣先である病院等は、派遣労働者である医療資格者の受入れに当たりこれらの措置を適切に講じなければならないこと。

(7) 円滑な業務引継のための対応
派遣労働者の交代により業務の引継ぎの必要が生じた場合でも円滑に業務の引継ぎができるよう、業務に関する記録の作成や管理方法等の標準化に努めること。

(8) 期間制限の遵守
今般の改正において、産前産後休業、育児休業又は介護休業中の医療関係労働者の業務について労働者派遣を認めることとしたが、これは当該労働者の休業期間中に限ってであれば、派遣労働者を受け入れたとしても、常用雇用の代替のおそれがないこと等から認められるものであり、上記期間を超えて派遣労働者を受け入れることのないよう、派遣先である病院等は期間制限を遵守すること。
また、へき地にある病院等が医業について医師を派遣労働者として受け入れる場合には、原則1年、最長3年の期間制限を遵守すること。
なお、期間制限を超えて、派遣労働者を受け入れた場合には、助言・指導及び勧告等の対象となるものであること。

(9) 医療法に定める医師等の員数の算定方法について
今般の改正により、病院等における医療関連業務に派遣労働者を受け入れる場合、医療法(昭和23年法律第205号)第25条の規定に基づく立入検査において派遣労働者である医師等の員数を算定する際には、当該医師等の勤務の実態により、「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の要綱について」(平成13年6月14日付け医薬発第637号・医政発第638号厚生労働省医薬局長・医政局長連名通知。以下「立入検査要綱」という。)の算定方法によることとし、具体的には、原則として病院で定めた医師等の勤務時間のすべてを勤務する者については常勤医師等、それ以外の者については非常勤医師等とみなし、立入検査要綱の「非常勤医師の常勤換算」に定める方法により算定すること。

(10) 責任の所在の明確化
一般に、派遣労働者の業務遂行に伴い患者等の第三者に損害を与えた場合、派遣元事業主と派遣先との間においては、派遣労働者に対して指揮命令を行う病院等が派遣先として損害賠償責任を負うものと考えられることを前提に、派遣元事業主との間で労働者派遣契約を締結する際には、損害賠償を含む責任の所在について明確にするよう努めること。