第2章 総則


[通知] 医療機関における自家細胞・組織を用いた再生・細胞医療の実施について
医療機関における自家細胞・組織を用いた再生・細胞医療の実施について

第2章 総則

再生・細胞医療を1つの医療機関で一貫して実施する場合には以下の要件によるものとする。


1.再生・細胞医療提供の体制等の在り方

① 医療機関の細胞加工施設(以下、「CPC」という。)において加工された細胞・組織等は、薬事法に基づき有効性及び安全性が評価されたものではないことから、医療機関は、ヒト幹細胞由来であるか否かにかかわらず、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」において求められている体制を有するなど、医療機関として管理・責任体制を明確にするとともに、同指針において求められている安全対策等を講じた上で再生・細胞医療を実施することが求められる。
② 再生・細胞医療の実施については、医療機関としての管理・責任体制を明らかにするために、倫理審査委員会の承認を求めることが必要である。
* 倫理審査委員会に求められる役割:製造・品質管理等に関する手順書や搬送方法の承認、それらが適切に守られているかの確認、依頼医療機関において実施された患者についての有効性や安全性に関する情報の集約、当該技術を継続する妥当性の検証、問題事例への対応の検討 等
③ 再生・細胞医療は、医療機関内の複数の医療関係者の連携のもと実施されるものであることから、医療関係者が連携し、患者の診療情報を共有した上で、患者の治療や治療後のモニタリングを実施することが必要である。例えば、主治医を中心としてカンファレンスを実施した上で治療方針や重大な事態が生じた場合の対応の決定等を行う必要がある。

2.再生・細胞医療の実施の判断及び細胞・組織の採取

① 患者に再生・細胞医療を実施するか否かの判断に当たっては、病状、年齢、同意能力等を考慮し、慎重に検討する必要がある。
② 採取段階における安全対策等については、「ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質及び安全確保について」(平成12年12月26日付け医薬発第1314号厚生省医薬安全局長通知)及び「ヒト(自己)由来細胞や組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全性の確保について」の規定するところによるものとする。

3.加工・品質管理体制

① 細胞・組織の加工を行う医療機関は、病院や特定機能病院に限定すべきではなく、有効性、安全性及び品質確保のために下記の要件を満たしている医療機関であればよい。
② 細胞・組織の加工は、必ずしも医師又は歯科医師が行う必要はないが、医療の一環として、当該医療機関の医師又は歯科医師の実質的な監督の下で実施することが必要である。
③ CPCの施設の要件
○ 加工した細胞・組織の品質の確保のために、細胞加工室、品質検査室、細胞管理室を有するなど必要な構造設備を備える必要があるとともに、脱衣室と着衣室を別に設けるなど、交差汚染を防止するために必要な対策を講じておく必要がある。
○ 電気冷蔵庫、電気冷凍庫、培養器、顕微鏡、安全キャビネット、モニタリング用機器など、細胞・組織の加工及び保存に必要な設備を有する必要がある。
○ 製品管理、品質管理、バリデーション等について、製造管理の手順に関する文書、品質管理の手順に関する文書、衛生管理の手順に関する文書、教育訓練の手順に関する文書等を定めるとともに、これらに基づき適切に製造管理及び品質管理を行う必要がある。
④ CPCの人員の要件
○ 製造管理責任者、品質管理責任者、細胞培養責任者及び細胞検査責任者の配置が必要である。
○ 少なくとも製造管理責任者と品質管理責任者は分けることが必要である。
○ 細胞・組織の加工を監督する医師又は歯科医師、品質管理、製造管理等の責任者及び実施者には十分な知識・経験が必要である。
⑤ 加工・品質管理の在り方については、「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)」(平成20年7月9日付け薬食発第0709002号厚生労働省医薬食品局長通知)、「ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保について」及び「ヒト(自己)由来細胞や組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全性の確保について」に規定するところによるものとする。

4.移植又は投与

○ 移植又は投与の段階においては、十分な安全対策等を行う必要がある。

5.情報管理及び記録の保存

○ 再生・細胞医療に関する記録を良好な状態の下で、少なくとも10年間保存しなければならない。
6.有効性、安全性など治療効果の評価
① 評価療養(健康保険法(大正11年法律第70号)第63条第2項第3号に規定する「評価療養」をいう。以下同じ。)の対象でない再生・細胞医療や薬事法に基づく承認取得や保険適用がされていない再生・細胞医療は、まずは研究として実施することが必要である。
実施後は、実施した再生・細胞医療に関する成績について、医療機関は査読のある学術雑誌へ寄稿し評価を受けるなど、第三者の評価を受けた上でホームページで公表することが必要である。
なお、情報公開を行う上では、効果が認められた症例の紹介だけではなく、他の治療を受けた集団と再生・細胞医療を受けた集団の生存期間の延長効果を比較した情報を公開するなど、客観的な有効性及び安全性に関する情報を公開することが必要である。
② 治療を目的とする再生・細胞医療であって、研究段階で一定の評価を得たものについては、先進医療(「厚生労働大臣の定める評価療養及び選定療養」(平成18年厚生労働省告示第495号)第1条第1号に規定する「先進医療」をいい、高度医療評価制度を含む。以下同じ。)や治験といった評価療養の枠組みの中で、行政の一定の関与の下、有効性及び安全性について更なる評価をすることが必要である。
③ 先進医療として実施し、一定の評価が得られた再生・細胞医療については、速やかに治験や薬事承認、保険適用につなげていくことが必要である。
④ さらに、保険の対象とならない予防や美容を目的とする再生・細胞医療は、先進医療の対象とならないため、実施医療機関において、より一層有効性及び安全性の確保に万全を期すとともに、特に有効性及び安全性の評価についてインフォームド・コンセントを徹底した上で実施することが必要である。





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