04 患者等の食事の提供の業務について(令第四条の七第三号関係)


[通知] 病院、診療所等の業務委託について

第四 患者等の食事の提供の業務について(令第四条の七第三号関係)

1 受託者の業務の一般的な実施方法
(1) 受託責任者
備えるべき帳票
受託責任者が業務を行う場所に備え、開示できるように整えておくべき帳票は、以下のとおりであること。
① 業務の標準作業計画書
② 受託業務従事者名簿及び勤務表
③ 受託業務日誌
④ 受託している業務に関して行政による病院への立入検査の際、病院が提出を求められる帳票
⑤ 調理等の機器の取り扱い要領及び緊急修理案内書
⑥ 病院からの指示と、その指示への対応結果を示す帳票
(2) 従事者の研修
従事者の研修として実施すべき事項である「食中毒と感染症の予防に関する基礎知識」の中には、HACCPに関する基礎知識も含まれるものであること。
また、「従事者の日常的な健康の自己管理」の中には、A型肝炎、腸管出血性大腸菌等比較的最近見られるようになった食品に起因する疾病の予防方法に関する知識も含まれるものであること。

2 院外調理における衛生管理
(1) 衛生面での安全確保
食事の運搬方式について、原則として、冷蔵(三℃以下)若しくは冷凍(マイナス一八℃以下)状態を保つこととされているのは、食中毒等、食品に起因する危害の発生を防止するためであること。したがって、運搬時に限らず、調理時から喫食時まで衛生管理には万全を期すべく努める必要があること。
(2) 調理方式
患者等の食事の提供の業務(以下「患者給食業務」という。)を病院外の調理加工施設を使用して行う場合の調理方式としては、クックチル、クックフリーズ、クックサーブ及び真空調理(真空パック)の四方式があること。
なお、院外調理による患者給食業務を行う場合にあっては、常温(一〇℃以上、六〇℃未満)での運搬は衛生面での不安が払拭できないことから、クックチル、クックフリーズ又は真空調理(真空パック)が原則であり、クックサーブを行う場合には、調理加工施設が病院に近接していることが原則であるが、この場合にあってもHACCPの概念に基づく適切な衛生管理が行われている必要があること。
ア クックチル
クックチルとは、食材を加熱調理後、冷水又は冷風により急速冷却(九〇分以内に中心温度三℃以下まで冷却)を行い、冷蔵(三℃以下)により運搬、保管し、提供時に再加熱(中心温度七五℃以上で一分間以上)して提供することを前提とした調理方法又はこれと同等以上の衛生管理の配慮がされた調理方法であること。
イ クックフリーズ
クックフリーズとは、食材を加熱調理後、急速に冷凍し、冷凍(マイナス一八℃以下)により運搬、保管のうえ、提供時に再加熱(中心温度七五℃以上で一分間以上)して提供することを前提とした調理方法又はこれと同等以上の衛生管理の配慮がなされた調理方法であること。
ウ クックサーブ
クックサーブとは、食材を加熱調理後、冷凍又は冷蔵せずに運搬し、速やかに提供することを前提とした調理方法であること。
エ 真空調理(真空パック)
真空調理(真空パック)とは、食材を真空包装のうえ低温にて加熱調理後、急速に冷却又は冷凍して、冷蔵又は冷凍により運搬、保管し、提供時に再加熱(中心温度七五℃以上で一分間以上)して提供することを前提とした調理方法又はこれと同等以上の衛生管理の配慮がなされた調理方法であること。
(3) HACCPの概念に基づく衛生管理
ア HACCP
HACCP(危害分析重要管理点)とは、衛生管理を行うための手法であり、事業者自らが食品の製造(調理)工程で衛生上の危害の発生するおそれのあるすべての工程を特定し、必要な安全対策を重点的に講じることをいうものであること。
イ HACCPによる適切な衛生管理の実施
患者給食業務においては、院外調理に限らず、常に適切な衛生管理が行われている必要があるが、患者給食の特殊性に鑑み、特に大量調理を行う場合については、食中毒の大量発生等を危惧されることから、より厳密な衛生管理が求められるものであること。このため、院外調理においては、HACCPの概念に基づく衛生管理が重要であること。
HACCPの概念に基づく衛生管理を行うに当たっては、「大規模食中毒対策等について」(平成九年三月二十四日付け衛食第八五号生活衛生局長通知)が通知されたところであり、これに留意する必要があるが、前記通知に定められた重要管理事項以外に、危害分析の結果、重要管理点を必要に応じて定めること。この場合には、HACCPに基づき必要な衛生管理を行うこと。
なお、院外調理に限らず、病院内の給食施設を用いて調理を行う従前の業務形態においても、HACCPの導入による衛生管理の充実は望ましいものであることに留意されたいこと。
ウ 標準作業書
適切な衛生管理の実施を図るためには、標準作業書はHACCPの概念に基づいて作成されたものであること。
(4) 食事の運搬及び保管方法
ア 食品の保存
運搬及び保管中の食品については、次の①から④の基準により保存すること。
① 生鮮品、解凍品及び調理加工後に冷蔵した食品については、中心温度三℃以下で保存すること。
② 冷凍された食品については、中心温度マイナス一八℃以下の均一な温度で保存すること。なお、運搬途中における三℃以内の変動は差し支えないものとすること。
③ 調理加工された食品は、冷蔵(三℃以下)又は冷凍(マイナス一八℃以下)状態で保存することが原則であるが、中心温度が六五℃以上に保たれている場合には、この限りではないこと。ただし、この場合には調理終了後から喫食までの時間が二時間を超えてはならないこと。
④ 常温での保存が可能な食品については、製造者はあらかじめ保存すべき温度を定め、その温度で保存すること。
イ 包装
十分に保護するような包装がなされていない限り、食品を汚染させる可能性があるもの又は衛生上影響を与える可能性があるものと共に食品を保管又は運搬してはならないこと。
ウ 容器及び器具
食品の運搬に用いる容器及び器具は清潔なものを用いること。容器の内面は、食品に悪影響を与えないよう仕上げられており、平滑かつ洗浄消毒が容易な構造であること。
また、食品を損傷又は汚染するおそれのあるものの運搬に使用した容器及び器具は、十分に洗浄消毒しない限り用いてはならないこと。
エ 車両
食品の運搬に用いる車両は、清潔なものであって、運搬中の全期間を通じて各食品毎に規定された温度で維持できる設備が備えられていること。また、冷却に氷を使用している場合にあっては、その氷から解けた水が食品に接触しないよう排水装置が設けられていること。

3 病院の対応
(1) 担当者
病院は、患者等の食事の提供が治療の一環であり、患者の栄養管理が医学的管理の基礎であることを踏まえた上で、当該業務の重要性を認識し、かつ専門技術を備えた者を担当者に選定し、業務の円滑な運営のために受託責任者と随時協議させる必要があること。
(2) 献立表の確認
献立表の作成を委託する場合にあっては、病院の担当者は、受託責任者に献立表作成基準を明示するとともに、作成された献立表が基準を満たしていることを確認すること。

4 病院との契約
(1) 契約書
契約書に記載すべき事項については、各病院における個別の事情に応じて、最も適切な内容とすることとし、全国あるいは各都道府県毎に一律に契約事項を定める必要はないことに留意すること。
(2) 業務案内書の提示
患者給食業務を行う者は業務案内書を整備し、患者給食業務に関して、病院に対して、契約を締結する前に提示するものとすること。